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偽物令嬢と呼ばれても私が本物ですからね  作者: kana


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3

目覚めてもまだ真っ暗だけれど、お友達が言っていたことは本当だった。


だって私を心配するお父様とお兄様の声も聞こえるし、2人が温かい手で私の手を握ってくれる。



お医者様が"胃がびっくりするからスープから慣らしてから、少しづつ固形物を食べるような食事にするからね"と教えてくれた。



温かくて味のついたスープも久しぶり。


食事の度にどっちが食べさせるかで、お父様とお兄様がスプーンの取り合いをする声が聞こえるの。


それに真っ暗なのは目に包帯が巻かれているからですって。

それもお医者様が教えてくれたの。

長く暗闇にいたから少しづつ明るさに慣らしていくのですって。

また目が見えるようになるのなら、お父様とお兄様のお顔を一番に見たいわ。







もうベットにも座れるし、声も普通に出るようになった。


スープから今は柔らかい固形物になったの。


その頃には明るいか暗いかが分かるようになってきた。

もうすぐ包帯も取れるってお医者様が教えてくれた。


ベスが毎日身体をタオルで拭いてくれる。

閉じ込められている間、毎日コップ一杯の水しか与えられなかったから、身体なんて拭けなかった。すごく汚れていたと思うの。

髪だって最初は梳かすのが大変そうだった。

早く温かいお風呂に入りたい。






今日は待ち望んだ目の包帯を取る日。


お医者様が包帯を取っていく。


「ゆっくり目を開けてみて下さい」


まず最初に見えたのは私の手を握る大きな手。

そして次に目に涙を浮かべたお父様とお兄様のお顔。


「ユティ」横を向くと大好きなジル兄様の整った綺麗なお顔。

「ジル兄様・・・」

安心したのと同時に涙がでた。

うわ~ん・・・・・もう13歳なのに子供のように大声で泣いてしまった。


抱きしめて背中を優しく撫でてくれる。

そうジル兄様は私が泣くと、いつもこうしてくれていた。

「辛かったね。もう大丈夫だよ」

大丈夫、大丈夫、と泣き止むまで背中を撫でながら繰り返し言ってくれた。




やっと泣き止んだ私に「ユティ、お父様も抱きしめたいのだが」「お兄様もユティを抱きしめたいよ」なんだか可笑しくて笑ってしまった。

2人に手を伸ばすとお父様もお兄様も泣いちゃった。



ずっと気になっていた事を聞いてみた。

だって忙しいはずのお父様がずっと側にいてくれたもの。


「お父様お仕事は?」

「お兄様留学は?」


「ユティが見つかったからね。もう離れたくないから外交の仕事は辞めたんだよ」


「僕はもう卒業して帰ってきたんだよ」


???


お父様はともかくお兄様が卒業するのは、まだ半年以上先だったと思う。


混乱している私にお父様が教えてくれた。


私は知らない間に14歳になっていた。


それは仕方ないよね。

ずっと暗闇の中にいたから月日なんて分からないもの。


でも知りたい。

怖いけれど、なぜこんな事になったのか知りたい。

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