表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
偽物令嬢と呼ばれても私が本物ですからね  作者: kana


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

21/26

21

あの日から気付いたことは、私たちをあんな目で見てきたり、ヒソヒソと話しているのが上級生だけだという事。


思い当たるのはデビュタントでエドと踊ったのが私とリアだけだってこと。

なら原因はエドに思いを寄せているらしいブリジック嬢?と頭に浮かんでも確証はない。


それでも、上級生と会うのは食堂か、登下校の馬車乗り場くらいだから私たちは気にしないようにしていた。

リアやエドにしたら気にしないのではなく相手にしないのだそうだ。


「あの方たち、学園を卒業した後も同じ態度でいられるかしら?」


確かに公爵家の令嬢や子息に対してとる態度じゃないわね。

私だって侯爵令嬢だしね。


「・・・悪いな。あの中にブリジック嬢の取り巻きがいたからアイツが指図してる可能性が高い」


私も一番にそう思ったけれど、"偽物のくせに"って言葉は私たち3人には当てはまらないと思うのよね。

だからブリジック嬢とは別で他の誰かがいるのかもしれない。






~ディオリス第二王子視点~


私が二年に上がってから妙な噂が耳に入るようになった。


令嬢たちはヒソヒソ話ををしているように見せかけて実はワザと周りに聞こえるような声で話すものだから、私たちの学年では殆どの者がその内容を知っている。


"男爵令嬢のビアンカ・オルト嬢は実は、ラグーナ侯爵の本当の娘で、今年の新入生の中にオルト嬢を侯爵家から追い出した庶子が入学してきた"と言うものだ。


しかし、3年程前に1度だけ父上の執務室で会ったことのあるラグーナ侯爵は黒髪にブルーサファイアの瞳の誰もが認める美形で、妻だけを愛し、息子と娘をとても大切にしていると聞いていたのだが・・・

そんなラグーナ侯爵が本当の娘を追い出して、庶子を引き取るか?


確かにオルト嬢も黒髪に青い瞳だが、ラグーナ侯爵の黒髪とブルーサファイアの瞳の色とは別物のような気がする。


それに、オルト嬢の話の内容をそのまま信じるとするならば、オルト男爵家の一人娘として学園に入学しているのはナゼだ?


騒いでいるのは下位貴族の令嬢達だけで、高位貴族の連中は噂に惑わされること無く今のところは高みの見物を決め込んでいるようだった。


それが一気にオルト嬢の言っていることが真実ではないかと噂が広まったのは、今年のデビュタントでラグーナ侯爵がエスコートして現れた令嬢が髪の色も瞳の色も受け継いでいなかったからだそうだ。


傍から見たらラグーナ侯爵とオルト嬢の方が親子に見える色合いだったそうだ。


私はそのデビュタントに遅れて顔を出しただけで、実際見た訳では無いが・・・休み明けにはちょっとした騒ぎにはなっていた。


その噂のラグーナ侯爵令嬢と初めて会ったのは学園の食堂だった。


偶然食堂で幼馴染みのエミリアとエドワードを見掛けて声をかけた時にその場にラグーナ侯爵令嬢がいて挨拶をしてくれたからだ。


手入れの行き届いたプラチナゴールドの髪に小さな顔に大きなヘーゼルの瞳。

綺麗な令嬢も、可愛いと言われている令嬢も何人も見てきたが、これほど庇護欲をそそられ心惹かれる令嬢は初めて見た。


『・・・君がラグーナ侯爵家のあの令嬢?』


訳が分からないと困った顔をされて自分が初対面の相手に失礼なことを言ってしまったと気付き言い訳をしようとした時、エドワードがラグーナ嬢を庇うように前に出てきた。


咄嗟に見掛けたから挨拶しただけだと言ってその場を去ったが、もう一度ラグーナ嬢を見たくて振り向いた時には彼女は私に背を向けていた。


あの娘が庶子?

あんなに気品のある娘が?

あれは一年や二年で身につけられるものじゃない。

王女と言われても信じられるレベルだ。


ますますオルト嬢の言っている内容が疑わしくなった。


この時ちゃんと調べていれば・・・

私はこの先、何年も後悔する事にはならなかったんだ・・・

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ