20
朝、学園に登校するのに何故か護衛が2人もついていた。
なんだか不思議で見送ってくれるお父様とお兄様に聞いても、最近物騒だから念の為だよ。と笑って言うから私もそうなんだって納得する事にした。
校門の前で馬車から降りたらリアが待っていてくれた。
後ろには呆れた顔のエドを引き連れて。
「おはようリア、エド」
「おはようユティ待っていたのよ」
昨日我が家に訪問してきた時と全然違う。
あんな手紙がなければ、リアは上品で美しくしいのに、気取らず話しやすくてサバサバした性格。
お兄様に会ってからは口数も減って、何か考え事をしているようだったけれど・・・
よかった。
いつものリアで。
3人で歩き出すと何かいつもと学園の雰囲気が違うような気がした。
何がどう違うかは分からないけれど、おかしな感じがした。
今日も普通に授業を受けて、普通に食堂にランチを食べに行ったはずなのに・・・
周りからキツい視線を向けられていることに気付いた。
なぜそんな目で私たちを見るの?
不安が顔に出ていたのかリアとエドが彼ら彼女らからの視線を遮るように隣についてくれた。
それでもヒソヒソと話す声は聞こえてくる。
『高位貴族だからって・・・』『調子に乗って・・・』『偽物のくせに・・・』
何?
高位貴族なのは侯爵家だから認めるわ。
でも、調子に乗っている?偽物?なんの事を言っているか分からない。
考え込んでいると食堂の端にあるテーブルの席についていた。
「・・・リア、エド皆んなどうしちゃったの?」
「ユティ気にしないの。昨日も言ったでしょ?私たち高位貴族は妬まれることが多いいの」
でも、あの目は妬むというより蔑ましているような目よ?
「・・・俺のせいかもしれない。アイツのエスコートを断ったから」
え?それってブリジック令嬢が何かしたってこと?
だったら、エドが気にすることなんてないわ。
そう言おうと口を開きかけた時、「やあ、エミリアとエドワード。それと・・・」
振り向くと、第二王子のディオリス殿下がいた。
「ラグーナ侯爵家が娘ユティフローラと申します。以後お見知りおきを」と席を立って礼をした。
「・・・君がラグーナ侯爵家のあの令嬢?」
あの?あのって何?
私のことを知っているの?
それに、じっと私を見ているのはなぜ?
返事に困っていると「ディオリス殿下、何か御用でしょうか?」とエドが私を庇うように立っていた。
「・・・いや、君たちを見かけたから挨拶しただけだよ。悪かったね私はもう行くよ」
そう言ってディオリス殿下は去って行った。
こっそり周りを見回すと、ブリジック嬢と目が合ってしまった。
とっさに目を逸らしてしまったが、あんな目で睨まれる理由が分からなかった。




