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偽物令嬢と呼ばれても私が本物ですからね  作者: kana


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1ヶ月半も滞在していたのに、退屈な日など1日もなかった。


だって、ジル兄様の執務中だって"皇太子妃教育"があったし、時間が合えば伯父様(皇帝)もお茶に誘ってくれるし、優しい重鎮の方々も仕事の合間にお菓子を届けてくれたり、少しでも暇そうにするとメイド達が話し相手になってくれるから一人の時間なんてなかったの。

でも私がお母様に似ているせいか、亡くなったお母様を想い泣き出す人もいた。


この皇城の人達は皆んな私に優しくしてくれる。


いつも忙しいジル兄様だけど朝昼晩の食事は必ず一緒に取ってくれたし、ふたりの時間も大切にしてくれた。


まだ、このお城から出たことは無いけれど、私が成人したらジル兄様が皇都を案内してくれると約束してくれた。


秋に行われるグラドラ王国でのデビュタントで成人の義を済ませれば、来年ここに来た時には私のお披露目が予定されているのですって。


お母様の娘の私は、皇位継承権第三位だものね。

因みにお兄様が第二位で、お兄様は留学中にここでお披露目をしたらしい。


ジル兄様がそのお披露目で着るドレスも、身につけるアクセサリもぜんぶ用意してくれるって言ってくれたの。

今から楽しみ。





毎日が充実していたからリアとエドのお土産を用意することをすっかり忘れていた。


思い出してジル兄様に相談したら、すぐに商人を呼んでくれた。


リアには私とお揃いのリボンの形をした色違いの髪留め。

エドにはエドの瞳の色の石がついたネクタイピン。

喜んでくれたら嬉しいな。





グラドラ王国に帰る私をたくさんの人が見送りに来てくれた。


私はいつものようにジル兄様にお姫抱っこされたまま馬車に乗り込んだ。


「ジル兄様帰ったら手紙を書くわ」


「ユティ、この間僕が言ったことを覚えているかい?」


ん?ジル兄様といっぱい話したからどれの事か分からなくて首を傾げて考えていると「辛いことや悲しいことがあったら僕の所に来るように言ったよ」


あ!そうだった!


「忘れないでここにはユティを傷つける者はいないからね」


1年後にまた来るのに心配性ね。


「分かったわ。でもそんなに心配しないでジル兄様」


絶対に忘れないで。

そう言って私の額にキスをするジル兄様に私も頬っぺにキスを返す。




ジル兄様や見送りの人達が見えなくなるまで笑顔で手を振った。


幼い頃はジル兄様とお別れする時は"帰りたくない"と泣いて困らせていたとお兄様が前に教えてくれた。


本当は今だってジル兄様と離れたくない。

だって私はジル兄様が好き。

物心ついた時には特別な人だった。


お父様やお兄様も大好きだけど、ジル兄様への気持ちは大好きだけでは言い表せない。

特別な繋がりを感じるの。


だからかな?

いま別れたばかりなのにもうジル兄様のところに帰りたいって思うのは・・・




ジル兄様の言っていた『辛いことや悲しいこと・・・』お父様とお兄様が傍にいてくれて、リアとエドとも仲良く出来ているのにな・・・ジル兄様は心配性ね。


ぼんやり馬車の窓から外を眺めながらそんな事を考えていた。


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