表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
偽物令嬢と呼ばれても私が本物ですからね  作者: kana


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

12/20

12

出迎えてくれたマキュリー公爵家の執事に案内されて通されたのは、手入れの行き届いた色とりどりの薔薇に囲まれたガゼボだった。


「ご機嫌ようユティフローラ様」


エミリア様今日は一段と気品に溢れていて、とっても綺麗だわ。


「ご招待ありがとうございます。エミリア様」


「こんにちはユティフローラ嬢」


エドワード様はラフな格好も似合っているわ。


「ご機嫌ようエドワード様」


ジルにお土産のアップルパイをメイドに渡してもらい席に着いた。




「ねえユティフローラ様お願いがあるの」


いつも堂々としているエミリア様が珍しく伺うように聞いていた。


「??なんでしょうか?」


「わたくしもユティって愛称で呼んではダメかしら?もちろん、わたくしのことはエミーでも、リアとでも呼んでくれて構いませんわ」


愛称ですって!


「もちろん構いませんわ!ユティとお呼び下さい・・・リア様」


嬉しい!けど少し恥ずかしい!でも夢見たい!


「様も付けなくていいわユティ」


いやん!エミリ、、、リアって呼んでもいいの?


「ではお言葉に甘えて・・・リア」


「本当に可愛らしいわ!お人形のようだわユティ」


「では私もユティと呼ばせてもらう。私のことはエドで構わない」


エドワード様まで愛称を呼ばせてくれるなんて!


「はい!よろしくお願い致します。エド」


どうしよう。飛び跳ねたいくらい嬉しい。


「なんでエドまで便乗してるのよ」


ん?


「・・・ユティフローラ嬢では長すぎる。だからお前に乗っかったまでだ」


お前?


「あんたね~」


あんた?


「あ、あのお2人の関係は・・・」


「ああ、私たちは所謂幼馴染みってやつなのよ」


私とジル兄様みたいな関係かしら?


「あの、この国の貴族の子供たちは15歳までは家から出ないと聞いていたのですが・・・」


「間違いではないが、私たちは公爵家の生まれだからな。殿下たちの遊び相手に幼い頃から王宮に呼ばれていたんだ」


「まあ!では殿下方とも幼馴染みなのですね。素敵ですわ」


だから気軽な言葉になっているのね。


「何が素敵なものですか!何度泣かされたことか!思い出しても腹が立つわ!」


一体何があったの?

リアが震えるほど怒るなんて。


「お前が俺たちの遊びに付いてきて勝手に泣いていただけだろ」


「なんですって~」


「木に登れば降りられなくて泣く、かけっこすれば転んで泣く、かくれんぼすれば一番に見つかって鬼はイヤだと泣く」


あれ?思っていたのと違う?


「悔しかったのよ!」


「私にはお前が泣いていた記憶しかない」


これが幼馴染みの関係・・・


私とジル兄様とは違うよね。

ジル兄様はいつも優しかったわ。


私が転ばないように手を繋ぐか、お姫様抱っこしてくれていたわ。

木登りやかくれんぼはしたことがないから分からないけど、ジル兄様なら私が泣くようなことはしないと思うわ。


「あなた達また喧嘩してるの?」


呆れた顔で現れたのはリアのお母様、マキュリー公爵夫人。


「ごめんなさいねユティちゃん。2人は顔を合わせると喧嘩するのよ。いつもの事だから気にしないでね」


「いえ、羨ましいぐらいです。ご挨拶が遅れました。今日はご招待くださりありがとうございます」


「本当に可愛らしいわ!お人形のようだわユティちゃん!」


リアと同じことを言われたわ。

さすが母娘ね。そっくりだわ。


この日から、私とリアとエドの会話から敬語が抜けるようになった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ