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69話 働かざるもの食うべからず

 ひとまず、その日は解散。

 宿へ戻り、ユナとアズと合流。

 そして師匠のことを話した。


 二人は師匠と会いたい、とか。

 師匠と一緒にいる時の俺が見たかった、とか。

 そんなことを言う。


 師匠に会いたいとか、変わった趣味をしているな。

 あれ、人の皮を被った魔王のようなものだぞ?


 まあ、それはともかく。


 施設の現状も伝えると、ユナとアズは神妙な顔に。

 あれこれとアイディアを出してくれた。


 そうして、すぐにぽんぽんとアイディアを出して。

 そうすることが当たり前のように動いてくれるところは、二人の良いところだ。

 いつもこういうところに助けられている。

 心を支えてもらっている、といっても過言ではないな。


 二人のアイディアを参考にしつつ。

 元々、俺が考えていたアイディアをミックスさせて。


 そのための準備をして……

 翌日。

 俺達は、再び師匠の元を訪ねた。




――――――――――




「よう」


 軽く師匠と挨拶をした後、ガキ共のところへ。


「お、セイルじゃん」


 アルルがこちらに気づいて、テテテと駆けてきた。

 それからユナとアズに気づいて、小首を傾げる。


「それから、見知らぬ姉ちゃんが二人もいるな」

「こんにちは。ユナだよ」

「その姉のアズよ、ふふん!」


 アズは、なぜドヤ顔をする?


 小さい子供の前だから、大人ぶりたいのだろうか?

 自分もまだまだ小さいのだが。


「セイル、なんか今失礼なこと考えたでしょ?」

「気のせいだ」


 小さくても心は大人。

 勘は鋭いようだ。


「で、どうしたんだよ?」


 アルルが不思議そうに尋ねてきた。


「アルルと……あと、他、適当なガキ共。仕事をするつもりはねえか?」

「仕事?」

「ああ、そうだ。お前は賢いから、この孤児院はもっと金が必要ってのはわかるな?」

「……ああ、わかるよ」


 アルルは悔しそうに頷いた。


 やはり賢い子だ。

 孤児院が厳しい状況ということをしっかりと理解できる子供なんて、なかなかいない。


 それだけではなく、師匠に頼り切りということも理解しているのだろう。

 だからこそ、こんなにも悔しそうな顔をする。


「俺ら、このままじゃいけないってわかってるけど、でも、まだ子供だから……」

「ガキはガキだ。そこを気にする必要なんてねえよ」


 わしわしとアルルの頭を撫でてやる。

 髪がぼさぼさになるのを嫌がり、アルルは俺の手を払いのけた。


「気にするんだよ!」


 強く睨みつけてくる。


「そうだよ、俺は子供だ! なんもできねえよ! でも、でも……だからって、それで全部頼り切りなんて、そんなの嫌だよ! 嫌なんだよ!」

「……いいぜ、よく言った」


 強く言い切ることができる。

 それだけの気概があれば、ちゃんとやることができるだろう。


 その意思の強さ。

 覚悟を見たかった。


「そんなお前に朗報だ。さっきも言ったが、仕事をするつもりはねえか?」

「仕事……?」


 アルルは訝しげな目を向けてきた。

 そんなものが本当にあるのか? と疑っている様子だ。


 まあ、それも仕方ない。

 ガキにできる仕事なんて、まともなものがあるわけがない。

 仮にまともな仕事だとしても、大して稼ぐことはできないだろう。


 しかし。


「ああ、仕事だ。楽はできねえし、そこそこ辛い。めちゃくちゃ稼げるわけでもねえ……が、ここの運営はできるくらいには稼げるだろうな。それと、怪我や病気の心配もねえよ」

「……それ、まともな仕事なのか?」

「まともだ。汚え仕事ってわけじゃねえ」

「そんなうまい話……」


 アルルは困惑した様子だ。


 目の前に急に現れた救いの手。

 それを信じるほどアルルはバカではなくて。

 まずは、新手の詐欺ではないかと疑うほどに賢い。


 そんなアルルだからこそ。

 そして、そんなアルルを仲間とするガッツある孤児院の子供だからこそ、仕事ができる。


「まあ、とりあえず話だけでも聞いてみろ」


 俺はニヤリと笑い、ユナとアズと一緒に練り上げた計画を話した。


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― 新着の感想 ―
弧児院に口は悪いが頼れるお兄ちゃんが子分を連れて現れた。もう報われるしか無いでしょう!
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