51話 私がここにいる意味
あたし……アズ・ユーグリッドは悩んでいた。
危ないところをセイルに助けられて。
以降、恩返しのために一緒にいて。
でも……
ちゃんと恩返しできているのだろうか?
実際のところ、お荷物になっているのではないか?
セイルに学んで、鍛えられて。
それなりに強くなったという実感はある。
ただ、あくまでも『それなり』というだけ。
実際の戦闘になれば、セイルの方が圧倒的に強く、活躍の度合いも違う。
最近、チェルシーも加入して、ますます戦闘面では活躍できなくなっていた。
なら、日常面では?
こちらも、あまり役に立てていない。
家事はそれなりに得意だと思うけど……
でも、宿を利用しているから、家事の腕が発揮される機会は少ない。
というか、ほぼほぼない。
戦闘でも日常でも、大して役になっていない。
おんぶにだっこ。
「……はぁ、情けないわね」
セイルは気にしていないと思う。
チェルシーも気にしていないと思う。
でも、あたしは気にする。
双子の妹のユナも、同じく気にしていた。
あたし達は役に立てていない。
このパーティーの中で存在感を出せず、マスコット的な立場。
そんなのは嫌だ。
セイルは恩人で、とても大事な人で……
文字通り、全てを捧げてもいいと思っている。
チェルシーも良い人だ。
最初は、ちょっと警戒したけど……
でも、話してみればいい人で。
それに、セイルも信頼していた。
魔法の腕も抜群で、戦闘では、しっかりとセイルをサポートしている。
それに比べて、あたし達は……
「この状況は、なんとかしないと……」
――――――――――
「神殿に行きたい?」
とある日。
いつものように四人で食事をとっていると、アズとユナが、そんなことを言い出した。
「神殿って、その人の適性検査とか適正職業とか……あと、特殊な能力を持っていないかどうか、調べることができるんでしょう?」
「私達、それを受けてみたいと思っているんです!」
二人は真剣な様子で言う。
……ここ最近、アズとユナの様子がおかしいことは気づいていた。
それが、おそらく、自分の立ち位置に関すること。
力に起因するものだということも、それなりに理解していた。
ただ、俺は気にしていない。
チェルシーも気にしていない。
いつでも、どんな時でも。
アズとユナは一緒にいてくれた。
隣にいて、笑顔を向けてくれた。
それは、間違いなく俺のことを支えてくれた。
表に出にくいことだとしても。
目立っていないとしても。
確かに、そこにあったのだ。
……ただ。
「わかった、なら後で神殿に行くか」
アズとユナが望んでいるのなら、その願いをできる限り叶えてやりたいと思う。
それが、俺のするべきことだろう。
「チェルシーもそれでいいか?」
「うん、いいよ。あたしは別に、急いでなにかをしたい、っていうことはないし」
「決まりだな。じゃあ、後で神殿に殴り込みをかけるか」
「「殴り込みじゃない」」




