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【結婚の話】

『夏休みも終盤かぁ』

約1ヶ月続いた引きこもり生活もそろそろ終わりに近づく。

とあるMMORPGにハマり、部屋に引きこもってプレイ。

起きてゲームして寝るのサイクルで永遠プレイし続けていた。


ピッ


パソコンの通知が鳴る。

「メッセージが届いています」

差出人を確認するとゲーム内で結婚したプレイヤーの名前が表示されている。

『え〜と?明後日にオフ会やるから来ないかって?』

住んでいる地域からもそこまで遠くはなく、行けないことはない。

『ネカマ説を確認するためにも行ってみるか』

自称では女らしいし、アバター自体も女だがネカマ説が俺の中で囁かれている。

パンドラの箱を開ける時は来たようだ!と自分を奮起させて約1ヶ月ぶりの外出予定を立てた。



『アカサカさんですか?』

予定日、待ち合わせの場所で待っていると後ろからゲームの名前で呼ばれる。

振り向くとそこに華奢な女の子が立っていた。

『あぁ〜、えっとはい、アカサカです』

ボイスチャットで聞く時とは全然違う、かなり高く感じる声が俺を緊張させた。

多分この人がゲーム内の恋人、アグさんなのか?

『いや〜、にしてもゲーム内の人と会うのは緊張しますね』

どうやって名前を確認しようかと思慮を巡らせていると向こうから会話をパスしてくる。

『え?あぁ〜と、そうですね!・・・アグさん!』

やめて!急に話題振られるの苦手なの!

『え?』

名前を呼んだだけなのに何故疑問符で返されたのだろう。

『あれ?アグさんじゃなかったですか?だとしたらすみません』

間違っていたのだろうか。

間違っていたのなら、謝り倒すしかないと心の中で覚悟する。

『あっと、そのすみません!間違ってないです!かなり声に補正掛けてて大抵の人は私のことわからないので驚いただけなんです!』

ならなんで自己紹介してくれないのかとツッコミそうになったが脱線しそうなのでやめておく。

『なんとなく雰囲気的にアグさんっぽいなって思ったんです』

すみません!全くわかりませんでした!

絶対に言えないけどマッジで誰かわからないけどアグさん女の子だったら良いなってだけです!

心の中での隠し事が一つまた増えた。


集まりも良く、人も良い人に囲まれて楽しい飲み会になった。

酒飲めないけど。

一つ気がかりなのはずっと横にアグさんが張り付いていたことだ。

とくに他の女性と話すときはやけに近くに寄ってくる。

正直怖かった。

そんな調子なので終盤はほぼ2人で話してる状態になり、2次会の話が出始めたので時間的にも退散する旨を伝えて店を出た。

なんでかアグさんもついてきた。

『あれ?アグさんもお帰りですか?』

その疑問に対しての返答で俺は話を振ったことを後悔した。

『何言ってるの?旦那様が帰るなら私も一緒に帰るに決まってるじゃない?』


・・・!!

あぁ、旦那さんから帰ってくるって連絡でもあったんだな!

なんだよそういうことか。

一瞬俺のことを旦那って言ってるように捉えちまったよ。

『そうなんですね!ではまた機会があれば遊びましょう!今日はありがとうございました!』

・・・ちょっとだけ不安になったので会話を切り上げてさっさと帰る事にしよう。

その場を立ち去ろうと振り返り、歩き出そうとすると腕を後ろから掴まれた。

とんでもない力で掴まれている

『あの?すみませんがもう俺帰るんで!』

『はい!一緒に帰りましょう!』

『なんでですか!』

『夫婦なんだから一緒に帰るのが当たり前ではないですか!』


『・・・え?』

さも当たり前の様に夫婦設定を追加してくるがそれはゲームの中での話だ。

何を言ってるんだこの女?

『えっと?夫婦ってのはゲームの中での話ですよね?今のこの状況となんの関係が?』

『・・・は?』

彼女の声色が氷の様に冷たくなるのを感じた。

その瞬間背中に強い衝撃を感じる。

『ウァッ?!』

鋭い痛みと鋭利なものが突き刺さる感覚。

掴まれていた手が自由になって、衝撃を感じた場所に手を当てると液体が流れている。

『結婚したのに!私の全てだったのに!』

彼女が叫んでいるのが微かに分かるが、意識が朦朧としてそれどころじゃない。

立っているのも億劫になり、痛みも徐々にわからなくなる。

そして地面に倒れ込んでそのまま意識を失った。




目を覚ます。

あのまま死ぬのかと思っていたが運良く助かったのか。

そう思って周りを見ると知らない部屋にいる。

自宅でも無ければ病院の雰囲気でもなさそうな。

金と赤、それと白を基調とした部屋のデザインから相当裕福なことがわかる。

『あぅあう?』

・・・どこだここ?って言葉にしたつもりだった。

口が上手く動かない。

そこで気づく。

手も、足も、体の全てがやけに小さい。


声で気づかれた様で近づいて来る音が聞こえる。

『お母様!ネスト起きてる!可愛い!』

駆け寄って来るその子は5か6歳そこらだろうか。

その子の後ろを追う様に母とよばれた女性ともう1人、付き人らしき女性がこちらへ向かってくる。

『弟が出来て嬉しいのね、はしゃいじゃって』

『王女様にとっては初めての下の子ですからね』

談笑しつつ向かう2人と、寝転がる俺の横で嬉しそうにこちらを見てくる女の子を他所にとある考えに行き着く。


嗚呼夢かと。


しかし現実は小説よりも奇怪な物で。

この日を境に俺、いや僕は。

異世界に転生してしまった様です。

2度のデータ全消去を経験しましたが私は元気です。

後書きまで見ていただけた方本当にありがとうございます。

参考になるかもわからない次回予告です。


色々と調べつつ、ある程度の身の置き所を知った俺は・・・ニートになっていた!

訂正しよう!不労所得を得ていた!

前世の技術力には到底及ばないこの世界で、前世の知識を活かした物を幾つか作って儲けてました。

でも御父様には如何やら働いてない様に見えたみたいで?


次回!追放!デュ○ルスタンバイ!

追放はされないです。

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