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スイッチ  作者: 美澄 岬
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わたしの立ち位置

向かいから歩いて来た男の残像が頭から離れない。

特に好きなタイプとかではない。

日焼けして赤味のある顔。雰囲気からして合いそうでもなかった。

ただ、すれ違う瞬間に合った目が印象的だった。

くりくりとした目が人懐っこそうで、この街でそんな目をしている人を見るのは初めてなような気がした。

この街は人嫌いな人が集まっている街。

引っ越して3年ほど経った今、さくらはこの街にそんなサブタイトルを心の中でこっそりつけた。

まず人と目が合うことがあまりない。

引っ越す前から薄暗い雰囲気の街と思っていたけど、それはきっとみんな下を向いて歩いているからかもしれない。

そんな街に自分はすぐ同化して、居心地の良さにまどろむ時もあれば心に砂が混じる気分になる時もある。

自然と唇が開きそうになって、鼻歌を歌おうとしていた自分に驚く。

きっとまた会うことなんてない。

自分と縁のある人ではないだろう。

そもそもたまたまこの街に通りかかっただけだろうし。

布団の中で、浮き上がりかけている心に重しを乗せるようにひとつひとつ言葉を並べていく。

大丈夫。明日に希望なんて持たなくても大丈夫。

生きているのに意味はない。生まれたから生きているだけなんだから。





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