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第3-2話 クランのみんなでスキーに行こう!

 

「うおっ! すっごい雪! テンション上がるぅ~!」


[真っ白……感動です]


 季節は2月上旬……一番冷え込む季節に、俺たちはクルマで神鍋高原にあるスキー場へと向かっていた。


 もちろん、スキーをするためだ。


 SUVの助手席に乗っているのは凛と一台のタブレット。

 なんでこの組み合わせでクルマに乗ってるかというと……



 ***  ***


「ユウにぃ、スキーに行こうよ♪」


 ”トールの迷宮”での狩りの後、このダンジョンも一通り攻略したし、次からは別のダンジョンに行くかと考えていた俺に、リンがウキウキと声をかけてきた。


「スキー? 確かにシーズン真っただ中だけど……叔父さん、叔母さんと行くんじゃ?」


「そーなんだけど、ほら、ウチの車ってスポーツカーじゃん? だから……」


「……ああ、乗れないのか」


 俺は事情を理解した。

 リンのご両親……俺から見ると叔父さん、叔母さんは、大のスポーツカーマニアであり……現在の愛車はロードな☆の国産車だったはずだ。


 高校生の娘がいるのに、2人乗りのスポーツカーを乗り回すフリーダムなご夫婦である。


 ”悠君のクルマが近くにあるんだからイーヨネ!”とは、叔父さんの談である。


「はい、クルマを出させていただきます……」


 俺は幼少時から叔父さん叔母さんには大変お世話になってるし、リンはかわいい従姉妹なので、喜んでアッシー君になりましょう。


「ね、ね、”スキー”って何?」


 俺たちが話していると、珍しくエレンが食いついてきた。


「エレンちゃん、スキーしたことないの? 雪の上を、2本の長い板で滑るんだよ」


「私の住んでるところ、雪降らないから……雪、見てみたい」


「なるほど……願いをかなえてやりたいけど、エレンの住んでる場所から兵庫県まで来れる?」


 ふるふると首を振るエレン。

 まあ、俺たちは彼女がどこに住んでいるか知らないんだが。


「う~ん、それじゃ……タブレットを繋げて、リモートで連れてってあげようよ!」


 そうだな、それならスキー場の光景を見せてやることもできるだろう。

 ちょうどみんなギガ使い放題プランを契約していることだし(フルダイブのゲームをプレイするには必須である)!


「問題ないな……そしたら俺の駐車場に朝7時集合な!」


「りょうかい!」



 ***  ***


 という事で俺のクルマは有料道路を降り、スキー場への道を上っているところだ。


 このあたりですでに積雪は1メートル近く……道路の両側にはうずたかく雪が積まれている。

 俺のクルマは4WDだし、チェーンも巻いているのでひとまずは安心だが……。


「叔父さんたち、この道をスポーツカーで走ったのか……勇者だな」


「あははは……アタシもなるべく乗りたくない」


 苦笑いする凛。

 確かにスキーに行くまでに余計なスリルを味わえそうだ。


 ちなみに、ふたりは昨日の夜から先行している。

 どこまでもフリーダムな夫婦だ。


「にっひひ~。 それにしてもユウにぃ、美人JKとふたりでスキーとか、リア充だねこのこの!」


[……不埒ですね]


「ふん、お前が従姉妹じゃなかったらな……俺はお前のおむつを替えたこともあるんだぞ? 今更だ!」


 凛がニヤニヤしながら、からかって来る……そしてエレンよ。

 俺は不埒じゃありません!


 ……凛の奴……最近色々成長してきやがって……すこしドキドキしたのは秘密だ。


「んなっ! 赤ちゃんの時のことを持ち出すのは反則! これでも感謝してるんだからね」


 俺たちはワイワイ騒ぎながら、スキー場へ向かった。



 ***  ***


「ふひゃあ! 気持ちいい~!」


 凛がきれいなシュプールを描く。

 運動神経抜群な彼女は、スキーも得意だ。


[おおお、このスピード感、病みつきになります……!]


 さすがにタブレットを持って滑るわけにはいかないので、ヘルメットに豆カムをつけて無線で映像を飛ばしている。


 エレンもスキーの雰囲気を楽しんでくれているみたいだ。


 さあて、俺も滑るか!

 じつは俺の地元はこちらの方なので、スキーには幼少のころから親しんでいる。


 しかもここは神鍋高原で最高斜度を誇る場所……男らなここは!


「よっしゃああぁぁ! 直滑降だぜ!」


 俺は、風になった……。


「おお、あほな人がいる……アラサーが無理すると、筋を痛めるよ!」


 雪はたっぷりだし、小雪はちらついてるが、悪天候というほどじゃない。

 ゲームもいいけど、たまのアウトドアも最高だな!



 ***  ***


 数時間後、滑りまくった俺たちはロッジで休憩していた。


 こういう所で食べるうどんやカツ丼はなぜこんなに美味いのだろうか。


[……スキーさいこう……絶対やってみたい]


「にひ、エレンちゃんもいつかこっちに遊びに来なよ! 待ってるよ」


[……うん]


 わずかにはにかむエレン。

 こういう表情をすると、年相応の女の子らしくてかわいい。


 今日は旅館に一泊だから、そろそろ叔父さんたちと合流するか……そう考えていると、にわかにロッジの奥が騒がしくなる。


 なんだ?


「大変だ! 最奥ゲレンデで表層雪崩が起きて、何人かスキーヤーが巻き込まれたらしい!」


 スキー場のスタッフが慌てて各所に連絡を取っているようだ。


 最奥ゲレンデって……叔父さんたちが行くって言ってたような……


「うそっ!? パパ、ママ!」


 その時、凛が悲鳴を上げる。


 凛のスマホには、叔父さん夫婦からのSOSメッセージが入っていた!


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