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「いぬとコドク」
まったくコドクってやつは手におえない
わたくしのいぬがその様にしゃべった
擂りたてたリンゴのかおりの声でね
いぬにコドクが解かるのかしらん
だけどエヘンわたくしに似てて
賢いいぬであるから博覧強記
光球の様に淋しさを悟って
光のはだざわりを伝えて
リンゴのかおりをたて
わたくしのきもちを
やらかく抱擁する
波光の中の獣だ
コツコツ歩く
路上の靴は
けれど裸
凍月の
吐息
白
漆黒
幻影は
原液の儘
劇場を開く
わたくしの耳
わたくしの眼球
わたくしの顔の色
わたくしの体の筋肉
わたくしは唯の感覚器
リンゴのかおりはあまく
わたくしを霧の様にかこい
わたくしの霧は唯まっくらだ
リンゴのかおりは月をかくして
光球はむこうがわにとおざかるよ
わたくしは本当はいぬを飼ってない
わたくしのいぬがこの様にしゃべった
まったくコドクってやつは手におえない
