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「薄荷深層」
月の硝子の深層が外殻に絵画をなして
開眼した僕はそのときに昆虫になる。
硝子
それは肉
肉は君で
読むと開く
舟は木を削り作るものだから糢糊
とした表面に浮かぶ、君の肉の上
に
。
オツキサマの硬いひかりが、僕の
ダウンジャケットを叩いている、
檸檬いろの硝子のおと、
僕の内部で小人がざわざわ、
細胞がもりあがってコブになる、
火山の火
銀山の銀
御前の血
ぎざぎざした波がざわざわざわ、
僕の外部で小人がざわめく、
僕の心臓の硝子のおと、
かなしいほどのうれしさが張り、
僕の外殻が
瀬は浅く大雨、月のひかりが
シャワーになり線を夥しく、
犇かしていて、線のあいだ、
には、たくさん、の、小人、
がいるそれは僕の中にいる。
ぎんの
いろ
雫
しずか
に降
る
あたま
が触
る
薄荷の月
薄荷色
薄荷色の
薄荷の
君
。