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「花器」
さらさらさら髪がながれていくのを切ると
黒髪をしろいてぶくろに乗せて脣は赤色
触覚だけがいなづまとして赤く流れて
それをとめられないでいる僕は赤く
放っていく銃声はそれも赤ただ赤
もどかしくもだえていく硝子瓶
ひかりはなつままに僕は蓋を
ひらりと開く閃いていく白
はじめてのひかりは赤い
はじめてのひかりは白
両極がいちどきに赤
脣はすでにしろく
最愛の最奥にて
最悪に最高の
終末を叩く
其処の底
眼の上
脣の
下
赤い
白い器
くろい髪
夜はながれ
ながれていく
僕は僕のくびを
ひきしぼり黒い声
なまぐさく白い声を
やわらかく赤い声を塚
のようにして築く其処の
うえに器をおこうひかりの
器は限界をはるかに超えて先
のひかりの先にまで髪をのばし
のびた髪は宇宙を何周もして僕の
ところにまで構造がとどく時を捻り
僕があなたにうつりかわり髪を僕へと
構造をてぶくろに乗せて切らせる輪廻を
器のなか循環させよう最上に最小に最大に