薬草採取・・・まさか
薬草は、山間の森に多く自生しており、町からは徒歩で30分程度の場所になる。森の周辺には、スライム、ゴブリン、ラビットが生息しているため、注意が必要となってくる。
早速、町の門をくぐり、森へと向かって歩いていく。
途中、商人のキャラバンや上位の冒険者たちとすれ違うこともあるが、森までは何事もなく進んでいった。
「あれ・・・」
いくら探しても森周辺にあるはずの薬草が見つからない、
初めての依頼が失敗に終わるなんてことはしたくないという気持ちが強く、森の中へ進んでいった。
注意しながら森の中を歩いていったが、やはり薬草が見つからない。
冒険者学校の実習でもこんなことはなかった。
何か嫌な予感がふと頭をよぎった時、体が落下する感覚に・・・
森の中に穴が開いていて、周りを注意するあまりに足元の穴に気が付かなかった。
幸い穴はそれほど深くなく、ケガもしなかったようだ。
穴の周囲を見渡すと、見たこともない人型の石造が立っている。
「きれいな顔をしているなぁ」
人型の像は、女性の姿をしており、何かに祈っているようにみえた。
とてもきれいな顔をしており、少し見とれていた。
祈っている像の周囲を調べるが特に変わったところは見当たらない。
なんの像なのか、だれが作ったのか、俺の知る知識の中には該当する情報がない。
周辺の調査を終え、女性の像を調べようと祈っている手に触れた時、その像がまばゆい光を放ち、その光で目がくらんでしまった。
視力が回復してくると確かにあったはずの女性の像が消えている。
そして。像に触れた手に違和感を感じて、両手を見てみると、手の甲に六芒星と呼ばれる星形が入れ墨のようについている。
こすってみても消えない。
俺が知る六芒星の星形は、この世界の7柱の神々を示す協会のシンボルという認識しかない。
そして、六芒星を身に着けているのは神官のみであり、指輪やネックレス、杖といった装身具についているのみだった、
六芒星をみていると体に不思議に力がみなぎり、腹の中が熱くなるような感じを受けた。
「なんだこれは・・・」
そう呟くと自分の名前などが書かれた不思議な半透明の板が見えていた。
その板をみてみると
名前 ショウ
性別:♂
年齢:18
職業:軽戦士
称号:解放者
体力:100 制限:999,999/999,999
魔力:10 制限:999,999/999,999
筋力:110 制限:999,999
耐久:35 制限:999,999
敏捷:200 制限:999,999
魔法属性
制限:全属性(光 闇 火 水 地 風 空 無)
固有スキル
制限開放(MAX)
制限:完全鑑定(MAX)
スキル
二刀流剣技
制限:気配察知
格闘術
採取
制限:アイテムボックス
なんだこれは・・・
名前、性別、年齢、職業は、俺の情報だ。
しかし、その後ろにある体力などの情報はなんだ!
もし、これが俺の能力だとしたら・・・
いや、こんな能力を見ることができるなんてことは、初めてだ。
しかも、軽戦士となったのも、魔法が使えなかったからなのに、魔法属性が全属性って・・・
制限開放ってなんだ!
そう思うと、不思議な半透明の板に制限開放の解説が表示された。
制限開放
世界ノワールに生きるすべての生物には能力制限がかけられているが、その制限を開放することができる。
能力制限は、戦争を繰り返し、食物連鎖以外での殺傷を嘆いた7柱の神々が争いによる世界の崩壊を食い止めるためにつけた制限である。
「まじか・・・」
制限がついている属性やスキルは、冒険者学校で頑張って習得しようとしてもできなかった事ばかりだ。
能力についてもそうだ。
制限という文字の前にある数値をみると確かに人より俊敏に動けていた。
制限開放された能力・・・
この能力が高いことは解るが、果たしてSランクやSSランクといった上位の冒険者などの値を知らないが、冒険者として成功できるだけの能力であることは確かだ。
だが、この能力を何かの拍子に知られた場合には、戦争に駆り出されることは間違いない。
そして、制限開放されたのは俺だけなのか?
なぜ、制限開放されたのか?
謎が深まるばかりだった。