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第二話 「最強の凱旋」01

 チーム・ランツィアが北の城塞グロッセナに凱旋を果たす。

 力を使い果たしたシュンは、仲間たちに両脇を抱えられ北門を潜った。


 新たな最強を一目見ようと門の内側には、大勢の市民や冒険者(ウォリアー)が集まりごった返している。


「へっ、凄い騒ぎだぜ……」

「最強の凱旋です。シュン!」


 サブリーダーのブレイソンが興奮した面持ちでシュンの脇を支える。


 戦いの疲労と緊張からの解放で、シュンの体にはまともに力が入らなかった。

 【回復】のスキルは既に底をついている。


「やりましたよ、シュン」


 もう一人のサブリーダー、森の中で常にシュンを見守ったアルバーがもう片側を支えた。


 今回の一件でシュンが率いるチーム・ランツィアには高額のスポンサー料が見込める。

 力と金、両方の強さが手に入るのだ。


 そして、この人気だ。ファンの若い女性たちがチームを取り囲み、シュンたちは人垣に阻まれ動くこともままならない。


「さあ、どきな、どきな! ここはチーム・スカーレッドが仕切るよ!」


 突然、派手な衣装の女を先頭に、武装した女冒険者の集団が現れる。

 チーム・スカーレッドは女ばかりのチームだ。


「さあ、道を空けるんだっ!」


 まるで赤い貴族のドレスと戦闘服とを足して二で割ったような衣装をまとった、隊長のレイキュアが叫ぶと人垣が二つに割れる。


 チーム・ランツィアとスカーレッドは以前から交流がある友好チームだった。


「レイキュアさん、すいません」


 アルバーが頭を下げ、シュンたちはゆっくりと進む。


「うちのチームの部屋に運ぼうか? 私たち女で神輿みたいに担いでさ」

「勘弁してくれよ。俺は自分の足で歩けるぜ……」


 シュンが作り笑いを浮かべて答えた。


「ああ、歩きな! あんたがこの街の頂上(てっぺん)だよ! 胸を張りなっ!」

「おう、これぐらい大した事ないぜ!」


 シュンとレイキュアの掛け合いと見得に人垣は更に沸いた。

 シュンが促すと、アルバーとブレイソンは静かに離れる。

 しかしシュンはまだふらついている。


「シュン!」


 その叫びにチーム・スカーレッド隊員たちが脇に寄る。

 声の先には短い黒髪で童顔の若い女性が、心配そうな面持ちで立ち尽くしていた。


「へっ、幻まで見えやがる……」

「シュン!」


 女性がもう一度叫び駆け寄ると、シュンはその女性の胸に倒れ込んだ。


「あはっ、あはは、本物だ。良い匂いがする。マヤの匂いだなあ……」

「ばかっ!」

「へへへっ……」


 もう一人、マヤの後ろにはジョルジュの姿も見えた。

 シュンの出身地、マヤの住む街のベテラン冒険者で、シュンの父親の親友でもあった。


 ギルドの連絡役としてこの街を訪れ、マヤが時々同行していた。


「シュン、あの(・・)スケラーノを倒すとは、強くなったなあ……」

「へへっ……」


 シュンはもう一度照れくさそうに笑って、マヤの胸に顔を埋めた。


「ちっ、最強がしまらないねえ~~。私たちの出番はなしさね、引き上げるよっ!」

「ワリィな……レイキュア……」

「恋人が来たのなら遠慮しておくさね……。気にすんなよ」


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