第七話 「戦いが終わって」01
レイキュアたちと別れてシュンはアルバーと共に事務所への道を歩く。
「アルバー、今夜は空いているか?」
「すいません、カノーアに次のデス・キャニオンでの話があるとかで、飲みに誘われているんです」
「そうか……、次はおまえとカノーアに封鎖部隊の指揮をとってもらいたいんだが。どうだ?」
「もちろんかまいません、カノーアにも話してみます」
「頼むよ」
実は今夜は全員で一席と、レイキュアに提案していたのが断られていた。
「あれは合同クエストの時だけにしましょう」
「そうか?」
「皆忙しいのよ、夜ぐらいチームから解放してあげなきゃ。少し遠慮しましょう」
と、言われていたのだ。
詰め所に戻ると、ブレイソンとメンバーたちが戦いについての色々な反省、感想などを話し合っていた。
「皆、御苦労だったな。ブレイソン」
「はっ」
「次はお前とグンソン、ロッド。スカーレッドからヒュミユとクーリアを呼んで中に入ろうと思っているがどうだ?」
「彼女たちもなかなかの実力者ですよ、いいんですか?」
「ああ、せっかくだし色々と経験させたいしな」
ブレイソンがグンソン、ロッドの方を向くと二人は緊張した顔で頷いた。
「ところで皆でこれから飲みに行くんですがシュンもどうですか? スカーレッドとエスプロジオーネの何人かも合流するんですよ」
「いや、俺は遠慮しておくよ」
「そうですか……」
「エスプロジオーネから他の場所の話が聞けるな」
「はい、情報を仕入れてきますよ」
「頼むぞ」
ブレイソンなりの、このクエストへの意気込みが感じられる表情だった。
部屋に所に戻って装備を外す。結局全員にふられてしまった。
スカーレッドやエスプロジオーネにしても、相手のリーダーが出てくるのでもなければ、シュンが行っても相手に気を使わせるだけだ。
シュンは上に立つ人間、リーダーの孤独を噛み締めた。
そう思いつつ何を大袈裟に、とも思い苦笑する。
仕方ないのでシュンはシャワーを浴びてからカーレッドの事務所へ向かった。
結局はレイキュアを頼る自分が情けない。
幸いレイキュアはいたが一人で書類に向かい合っていた。
「どうしたの?」
「あ、いや、飲みにでもと思ってさ。何やってんだ?」
「仕事よ。もうすぐ終わるから座って待ってて」
ランツィアの事務はアルバーに任せているし、スポンサーとの関係は代理人のジュリーザに丸投げだ。
ふと壁を見ると今まではなかった、大きなレイキュアの絵が飾ってあった。
「なんだ? こりゃ……」
「絵よ」
レイキュアは見ている書類から顔を上げないままで言う。
「これが絵なのは俺でも分かるよ」
「後で説明するから、ちょっと待ってて」
シュンはソファーに腰を下ろし改めてその絵を見た。
いつもより露出度が高い衣装のレイキュアが、剣を携え岩の上に片方の足を掛けている。
「こんなに胸が大きかったか?」
レイキュアは無視するのでシュンも無言になった。
「さて、終わったわ。待たせて悪かったわね」
「いや……」
「シャワー浴びさせてね」
「もちろんだ。手伝おうか?」
「悪いわね」
レイキュアは戻ってすぐに仕事を片付けていたようだ。
約束もなしに押し掛けたのだから手伝うぐらいと、待つのは仕方ない。
裏に回って井戸から水を汲んで階段を上がりタンクに入れる。
上のタンクから下のシャワーに水が流れ落ちる仕組みになっている。
「シュン、タンクの一番下の目盛まででいいから」
扉を開け顔だけ出してレイキュアが言った。
「分かった。もう少しだよ」
シュンは水汲みを終わらせ事務所に戻る。
電力の使用が制限されているので、こんな作業も仕方のない話だった。
小さな電熱の給湯器が辛うじて温水のシャワーを実現させる。
少ししてレイキュアがバスタオルを体に巻いて、戦闘服を抱えて戻って来た。
「上で着替えるから、もうちょっと待っててね」
この建物は一階が事務所、二階が隊員たちの詰め所で三階がレイキュアの私室と新人の宿舎になっている。
スポンサーの提供ではなくてチーム・スカーレッドの持ち物だった。
「悪かったわね。行きましょうか」
いつもとは違う地味目な私服に着替えたレイキュアが階段から降りて来る。
「ああ、どこに行こうか?」
「いつもの所にしましょう」
この街でちょっとした有名人の二人が落ち着ける場所は意外に少ない。
二人は通りを歩いた。




