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嶺華の心の闇

女子高生がゆっくりと目を開ける。思わず眩しすぎて視界に手を当てて光を遮る。


『ここは?私、死んだ?』


ゆっくりと上体を起こし辺りを見渡す。とある森の中にいるみたいだ。辺りは草木が立ち生えており、虫の鳴き声が前からも後ろからも聞こえる。地面には何も敷かれておらず枯葉の葉っぱがそこら中に落ちていた。

制服が汚れているため払い落とす。その際に汚れが滲んで益々汚れてしまった。


『起きたの?可愛子ちゃん』


後ろから誰か男の声が聞こえる。だが振り向けばそこには誰もいなかった。


『誰?ここはどこなの?』


『上を見てちょうだい』


男の声がそう聞こえた。そして女子高生は上を見上げる。すると大きな木の太い枝から誰かが女子高生の上から降りてくる。

女子高生は思わず反射的に後ろに下がって男を見る。その姿は全身真っ黒の衣服で身にまとっており、フードをかぶっているため顔が見えなかった。しかし身長は女子高生よりも高い。思わず普通に立っているだけでも顔を上を見上げてしまうくらいである。


『可愛子ちゃん、怪我してない?大丈夫?まぁ、そんな感じではあるな。んでさっきの質問だけど、ここはあんたが倒れていた近くの森林があったところ。横断歩道のところでうつ伏せになって倒れてた感じだったけど、あんなところで寝てたらみんなが踏んづけて行っちゃうぞ』


長々と横断歩道で女子高生が倒れてたことを話す。そうだあの時車に跳ねられて死ぬところだったのだが、そこから急に体が苦しくなって、そこから先のことはわからない。そして女子高生は拳をぐっと力を込めて握りしめる。


『あん?どうしたんだ可愛子ちゃん?』


『殺して…欲しかった。もう何もかも嫌…。だから殺してほしかったのに…』


『…あぁ。そういうことね。もし俺でよければ相談、のるけど』


『私を殺して!あの時車に跳ねられて死にたかった!でも急に苦しくなって。もうどうでもいいの!今の私なんか!だから…お願いだから早く殺して!』


『ちょっ!ちょっと!俺は殺し屋じゃないからそんなこと急に言われても。経緯を説明してくれないか?』


女子高生は涙を流し、目を赤くしながら必死に訴え続ける。そして何度も男の子に向かって叫び続ける。だが何と言っても男の子は戸惑うだけだった。そして膝から崩れ落ちる女子高生を男の子が抱きしめる。


『もう、ほっといて…。誰も構わないで』


そしてゆっくりと女子高生は立ち上がり男の子から離れていく。男の子はその姿を眺めるだけしかできなかった。その森の中をただ歩き続け出口に向かって歩く女子高生は涙を必死に吹きながら出て行った。


『嶺華1』

いつもの朝。私はいつも通りの時間に家を出て学校に向かう。学校までの時間は10分もあれは着く。だから自転車で通うほどでもないため歩いていつも1人で学校に向かう。だが私はこの時間が何とも言えないくらいの憂鬱となる。

本当は学校なんか行きたくない…。行ってもどうせいつもと同じ。嫌な時間を過ごすだけなのだ。何故か。私は…学校で虐められているから…


教室に向かうとやはりいつもと同じ光景だ。教室内を見渡す。普通に喋ってる生徒がそこら中にいる。だが私の視界の中にあるグループが映った。ちょうど目線をまっすぐにしたところに遠くの方からこちらを見てる。女子グループの中でスクールカーストでいうなら一軍と呼ばれる者達。私はいつもあのグループに虐められ、毎日が嫌になる学校生活を過ごさなければならなくなる。


私は何事もなかったかのように自分の席に座ろうとする。椅子を後ろに下げてカバンを机の引っ掛ける部分に吊るし上げる。だがもう一度椅子を見ると、そこには画鋲の針がこちらに向かって立っている状態で何本も接着剤でくっつけられていた。剥がそうとしても固まってて取れない。


『チッ!座れよさっさと』


後ろからさっきの一軍の連中が何か言ってるのを聞いた。そしてその中の一人が机の上に大量の透明な液体が入ったペットボトルを置いた。そして蓋を開け、私を見てニヤっとにやける。


『知ってる?お湯を使うと接着剤って取れるんだよー。手伝ってあげるー』


『じゃあ私もー』


すると椅子をわざとどかして私を後ろか両腕を抑えられた。拘束された私は身動きが取りづらかった。そして目の前にはお湯が入ったペットボトルを持った一人の女の子がこっちを見てニヤッと笑っている。そして次の瞬間目の前の女の子がわざと転んだ演技を見せる。


『イヤッ!』


そのあと私にお湯が掛かった。


『あー。ごめんごめん。ちょっとこの辺滑るんだー』


そういうとまた下手な滑る演技をして私にお湯を掛ける。ペットボトルを少し圧迫させて勢いよく私に掛けるせいでお湯の勢いが強くなる。それを利用してわざと滑る演技で掛けまくる。少しずつ熱かったお湯が服に染み付いてだんだん冷めていく。

そして顔にも足にもかけ続ける。


『いい加減にして!』


すると一軍の連中が一斉に私を見た。


『手伝ってあげてるのにその態度なの?ムカつく』


『あんたが困っていそうだから助けてあげようと思ったのに最低かよ』


『マジ意味わかんない。感謝どころかキレやがって』


すると私に向かって全視線が向く。

なぜ虐められてる私が悪者になって行くのか。どうして誰も助けてくれないのか。

もう私にはどうしたらいいかわからない。勢いよく教室を出て行く。走ると、濡れた制服が風のせいで冷たく感じる。

途中で担任に出くわすも無視して私はどこか隠れる場所を見つけに教室を離れていった。


私がトイレの中でひたすら泣いているがほかに誰もいない。トイレの閉鎖的なこの空間にすぐ駆け込みたかった私は、教室から離れたトイレに向かった。そして今、誰も使っていないトイレのドアを急いで閉め私はここで何時間か過ごさなければならない。


『もう嫌だ…。死にたい…』


もうこのセリフを吐くのは何回目だろう。この学校に来て私は平和な楽しい学生生活を送ったことなんてない。0と堂々と言えるほどである。


するとチャイムが鳴り始める。これから朝の会があるのだが私は出席しない。私は今日も欠席扱いだ。一軍のせいで私はいつもこんな生活を続けさせられる。だがこのチャイムがなっても教室に向かわない生徒は私だけではなかった。堂々と遅刻する人もいる。

そういう連中はこのトイレにたまに来て用をたすため泣いている私の声が聞こえてしまうこともあった。そして今日もそんな連中が入ってきた。するとその連中の会話に私は思わず声も出なくなってしまう。


『1年3組のあの子。えーと、確か虐められてる』


『嶺華って言う人?』


『そう!うちさぁ、きいた話によるとあの子のコラ画像が出回ってるらしいって知ってる?なんかネットでもその画像のサイト、かなりアクセス数が多いらしいよ』


『誰がやったのそれ?』


『ほら、あのクラスにいる一軍の女の子でさぁ、すごいネットに詳しい人いるじゃん。あの子がやったんじゃないって聞いたよ』


私の画像をコラージュしてネットに上げてる?顔だけとかを切り取って貼り付けてるってこと?嘘でしょ!?


私はポケットから携帯を取り出した。そしてどう検索していいかわからないから検索エンジンに『コラージュ画像 人気』や『女の子 コラ画像』と検索してみた。何度か試した結果、私はその画像らしきものを見つけてしまった。その画像を見ると、全裸のセクシー女優の写真に顔がコラージュとして貼り付けられており、こっちをみて笑っている私の写真が使われていた。よく見るとその画像は中学の卒業式の際にアルバムに貼り付けるための写真のやつである。


『嘘…。私、こんなことされて…』


そしてコラ画像の掲示板があり、そのサイトを見ると。


『オカズにさせていただきました』

『ロリコンどもにはお腹いっぱいだろうな』

『この子ってなんか地下アイドルやってるの?』

『高校生か中学生くらいの顔だな。ったくよ、誰がこんなロリなんかに釣られて



ふぅ…』


となにかと弄ばれていた。


『もう嫌…死にたい…』


個室からそんな声が聞こえるためさっき遅刻してきた連中は思わず静かに笑って

トイレを出て行った。

そして私はやり場のない怒りや悲しみ、絶望をずっとこの現実を見て体から力をなくしその場を膝から崩れ落ちる。

そして私は何もできずにその場を動けなかった。


そして1時間目が始まるチャイムが鳴る。

私は屋上に足を運んできた。ここまできてしまったからにはもうどうすることもできない。だから私は…ここで死ぬ。ここから飛び降りることを誰も止めない。前は突然謎に苦しみだしたため死ぬことができなかった。今度こそ私は自由になれる…

屋上の手すり部分を超えて私は靴脱ぎゆっくり景色を見渡す。やっと死ねる。そう思った時心が広く、清々しい気持ちになる。

さようなら…手を離し飛び降りようとしたその時だった。突然またあの苦しみが体中に味わう。そして思わず手を離して屋上から落下する。すると体から謎の黒い霧が出て来た。私は何が起きたのかわからないまま落下する。だんだん意識が遠のいていく。私はその後のことが何もわからない。


『修司1』


『やれやれ。この可愛い子ちゃんは。問題児だなぁ』


俺は以前横断歩道で倒れていた女の子がこの学校にいることを知り、向かったら屋上から飛び降りていくのを見てしまった。何してんだか。まぁ、どう言う理由であれこの可愛い子ちゃんはまたあの怪物を生み出してしまった。

あいつは以前もこの子から生まれた。この子はおそらく怪物を生み出しやすい性格なんだろうな。

そして俺は屋上から落下していくこの子を…もういい加減名前で呼んでもいいか。嶺華って子を抱きしめ地面に頭から落ちてぶつけないようにちゃんとお姫様抱っこで着地する。


『あぶね。まぁ、この子は別にどうでもいいんだが』


俺に用があるのはあの怪物。『クレイジャー』だ。あいつは人間の罪悪感または、負の感情が人間の限界を超えた時に生まれる怪物。人間は時に自分では制御できないくらい暴走してしまうことがある。そんな時にこいつが現れてそこら中暴れ放題に動くわけ。

んで、こいつを始末することができるのは俺だけ。だから俺は自分にできることをやるだけさ。

そして俺の愛用品であるこの黒い筒の形をした物。これは一応『邪鬼斬刀』と名をつけてる。まぁダサいと思ったらネーミングは変える。

そんなことはどうでもいい。俺の仕事?って言うか、俺にしかできないこと。この人間の心って言うやつから生まれた忌子のような存在を狩る。あんまり世間では知られてないがそういうことする人を『クレイジャーハンター』って言う。いや、これは俺が勝手につけたんだが。

早速見つけたからには狩らせてもらう。邪鬼斬刀から刃を出して俺は怪物が逃げていくのを追いかける。


『おいおいどこいくんだよ。ったく』


見た目は蜘蛛の姿をしているんだが可愛くはない。逃げ足の速い奴め。逃しはしないぞ。

俺は学校を出てそいつが逃げていくのを追いかけていく。周りにある電柱や駐車してる車などいろんなものを見つけたら飛び乗ってみたりして華麗に相手に近づいていく。


『しつこいよお兄ちゃん。お腹すいた』


『ここにいるだろ?美味しそうな食い物が。まぁ、口に合うかわからないが』


『お兄ちゃん。美味しくなさそうだもん』


『そうか。ならしょうがない』


怪物との会話も弾ませながら攻撃をかわし、なんとか上に飛び乗ることに成功した。その間あたりの物はメチャクチャに荒らしたり荒らされたりしたがまぁそんなことはどうでもいい。


『うわ!お兄ちゃんどこ?』


『見あーげてーごらん♪』


そして上を向いた怪物が俺の姿を捉えたであろう瞬間に、いあいぎりを怪物の顔にくらわせた。そして首が吹っ飛ばされ赤い血が辺りに飛び散る。

怪物は液体のように溶けていった。


『ったく。飛んだ暴れん坊ちゃんだったこと』


そして俺はメチャクチャになった辺りを見てヤベッって思った。そしてその場を急いで離れていく。



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