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行くぜ!!作者の妄想日記
※他人の妄想にイライラする方はプラウザバックを推奨……したくな……推奨します
神、それは時に希望と栄光を与え、時に絶望と滅びを与えうる。
何て格好つけて言ってみたが僕は無神論者だと僕自身が思ってる。
さて、皆は目の前に神を自称する存在が現れた場合、どんな行動を取るだろう。
哀れみの目を向けるだろうか、それとも適当に流してその場を乗り切るのだろうか、まぁいずれにしてもその存在を神とは認めないだろう。
しかし、様々な条件を付ければどうだろう。
先に何も無い真っ白な空間、そして身体が半透明になっている自分。
こんな状態で宙に浮く可愛らしい女性が現れ、自分は神の1柱だと自称すればそれは神もしくはそれに準ずる存在だと認めざるを得ないだろう。
「話を聞いてくださいっ!」
神の存在を肯定するのも癪に障るので、此処では彼女と呼ぶ事にしよう。
「大丈夫です、聞いていますよ」
「思考の中では失礼極まりないのに言葉使いは丁寧でしゅっ……噛みました」
彼女は思考を読める様なので念話の様な事が出来そうだが、僕の方に念話を受け取る能力が無いそうなので彼女は直接話すしかない様だ。
顔を真っ赤にして頭を抱えている彼女を放置して僕の置かれている状況を整理しよう。
僕は電車に轢かれてその後死んだ。
これは確実に起こった事だと確信している、しかし即死ではなく四肢全てに痛みを感じたということは、身体はバラバラにならなかったという事に違いない。
つまりこの時に死んだ訳では無いはず、僕は昔から身体の丈夫さには定評があり、トラックに轢かれても怪我しないほどだった。
ならなぜ……「思考に水を差す用で申し訳ありませんが、私に説明させていただけませんか?」
「ふむ、それは助かります。お願いしたい」
「貴方は電車に轢かれた後そのまま病院に運ばれました。その後病院に雷が落ちて貴方を検査していた機材が爆発、その爆発で部屋が崩落、そして人工衛星が現場に落下した所で貴方は死亡しました。」
「この様に通常有り得ない事故が起きたのは、我々神のせいなのです。」
ここに僕が呼び出された理由が見えてきた。
「ええ、此処に貴方を呼び出したのは謝罪とお願いの為なのです」
彼女が提示してきたのは、まず謝罪として次の生を受ける際に今の知能や運動能力、記憶を引き継いで転生出来ること、次に個人的なお願いとして勇者を殺して欲しいという事、なおこのお願いを聞くと約束すれば魔法を使えるようにしてくれると言う。
勇者というのは騒いで僕を線路に突き落とした高校生の集団らしい。
彼等を異世界の人間が召喚しようとしていたのを止めようとしたら、力の調整が上手く行かった上に異世界の神まで干渉してきて変な事故を起こしてしまった様だ。
「しかし、魔法ですか……そうですねぇ。」
「何か気になる事でもありました?」
「ええ、魔法といっても何の対価も無しには使えない筈です、我々の常識で言えばの話ですが。それは何を対価に支払えば宜しいのですか?」
対価無しで使えるのならそれは勇者にしても同じ筈、勇者が魔法を使えないというのは些か希望的観測過ぎる気がする。
対価なしで使う力それは厄介極まりない、殺すにしても容易には行かない。
それにそうでなければ魔法を使えるという条件は提示しない筈。
「そうですね。 対価と言っても体内にある魔力というエネルギーを消費するだけですし、寝たり食べたりすれば回復しますよ。」
「ほう、すると魔力を溜め込みすぎると太り過ぎた様に身体に不調が起こる訳ですか」
無言で頷く彼女の行動を肯定と捉えよう。
つまり、僕がこのお願いを断れば物凄いスピードで太ったような状態に陥り、早死したといった所だろう。
「そんなことはありません! 転生後の身体次第では魔法が使えますし、私が言う魔法を使える様にする、というのは才能を保証するという意味ですので心配には及びません」
心外だと言わんばかりに彼女が捲し立てる。
「ですがお願いを受けないと才能は保証出来ない、そういうことでしょう?」
僕がそう言えば彼女は顔を伏せ、押し黙ってしまった。
「個人的なお願いとやらは受けるしか選択肢が無いようですね。 余り気は進みませんが早く転生させてください。」
そう言い切れば足元に紫色の魔法陣が生まれ黒色の光が溢れ出す。
そうして僕の意識は闇の中に落ちていった。
次回もまた見てくれよな