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0 プロローグ
荒地に少年が一人。仰向けで大の字に寝転んでいた。黒髪黒目のいたって普通の日本人。ただし服は手術着のようなもので、何故かボロボロになっていた。露出している部分も服と同じように擦り傷やら切り傷やらで無傷な部分の方が少ない有様だ。
「……あー、なんかやっと終わった感じ」
視界に広がる空は若干霞んで見えるものの雲一つない青空。月並みではあるが、まるで自分の心境を表しているようだと少年は思った。
「一番厄介な狸ジジイは始末したから、もうウチの親類縁者に手は出されない……はず」
出されないといーなぁ、と少年は呟く。ここまでやったんだしという言葉は飲み込んだ。なんだかフラグっぽいので。
それにしても眠い。と、少年は思った。ひと段落付いたからと言って、寝転んでしまったのが悪かったのだろうか? どうしても動く気になれない。そうこう考えている内に……
「………………おなかへったなぁ」
それが少年の最期の言葉になった。