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文楽のすゝめ

作者: マリリン

私は、文学という二文字に違和感と憤慨を覚え、筆をとるではなくパソコンを立ち上げる者である。


文学とは一般的に、小説や詩などの言語表現による芸術作品のことを指す。

文学は人類が古くから多様に変化しながら伝わり、ほとんどの場合音楽や美術よりも、ずっと多くのことを伝えられる素晴らしいものであると私は考えている。

さらにありがたいことに、現代の我々には、自分を表現する機会が無数に用意されている。

おかげで様々な思想が飛び交うようになった。



つまり文学はより身近になりさらなる発展を遂げた。

本当にそうだろうか。

私はいつかの時代に文学をおいてきてしまったような気がしてたまらないのだ。


順を追って説明しよう。まず、文学と言われたら、どんなイメージを得るだろうか。

一般人にはとても限定的で相容れないものであると感じると思う。それに加え私はシャープペンシルの芯を思い浮かべた。

文字を書く道具であり、硬いのだがすぐ折れる。

文学の学という文字が示す、ある種盲目的なひたむきさと脆さが、まさにシャープペンシルの芯を思わせたのだろう。

そもそも学という文字は学問を連想させる。これは無限の可能性を秘める芸術作品にも、近年の文字の身近さにも、なんと不釣り合いな言葉であろうか。

つまり文学という文字自体が文学を否定しているのである。

私が普段、気軽に小説や詩を読むのにもかかわらず、文学という言葉をなんだか遠慮したい気分になってしまうのは、こういった理由があったのだ。


才能が花開くこの時代に合わせ、古い言葉は新しく変わるべきだろう。

そうでなければ文学は進化をここで終え、過去の遺産として扱われてしまうのだから。


私は、これから生まれてくる素晴らしい作品たちを、ぜひ文楽と親しみを込めて呼ぶことを提案する。

言葉を使い、想いを込めてつくられたものを、それがどんな形で表現されたものであれ、文楽と呼びたいのだ。

文楽とは日本伝統芸能の一つなのだが、ここで使っているのはもちろん私がつくった言葉だ。この言葉には、媒体に縛られず、本当の意味で文章表現による芸術作品が認められて欲しいという意味が込められている。


具体的に文学に含まれない文楽の例を挙げてみよう。私が強く文楽を感じるのは、本や絵画などのタイトルだ。

文学といわれてこれを思い浮かべるのはごく少数ではなかろうか。

しかし、作品のタイトルには、芸術の繊細さと美しさがある。

イメージして欲しい。

目の前に卵の中に入った美しい天使の絵がある。

この説明だけでは、あまりに無機質で様子が伝わってこない。

しかし仮に「飛翔」というタイトルをつけると、天使に生気が宿り、空は晴れ、今まさに殻をつきやぶらんとするさまが思い浮かべられるだろう。

もしあなたが他の名をつけるならば、この天使の絵はどんな表情でも見せてくれるだろう。

私はたかだか数文字の芸術に、まさに文楽を感じるのだ。


この現代には多くの人の発想とひらめきが文字により表現されている。

私はもったいないと思うのだ。

多くの作品たちが芸術作品として扱われないことが。

先入観に閉ざされて、文字が織り成す芸術の世界に触れられないことが。


文学の異常に気がついた我々がなすべきことは、文学という芸術に対する誤解を解き、世界に発信する技術を正確に使って、文楽として発展させていくことではないだろうか。



徒然なるままになんてかっこいい言葉をいつ使えるようになるのだろうと、今まで思わなかったことを考えさせられた、初めての書き物です。

書きたいことは書けました。

伝わるかは別なんでしょうが。

少しでも何かが心に残った読者様がいらっしゃれば、それだけで幸せいっぱいになれそうです。

読んで頂いてありがとうございました。

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