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プロローグ
コノ学園デ青春ヲ過ゴシタケレバ、南館ニハ近ヨルベカラズ……ー
「なぜ君はここにいる?」
僕は答えない。
「転校早々、掟破りとはいい度胸ね。そんなにこの学園が嫌い?」
僕は答えない。
「掟を破れば退学出来る、なんてそう思ったのかしら?」
僕は答えない。
「そしたら残念ね、そんな簡単な事でこの学園から逃げられるなんて見当違いも甚だしいわね。」
僕は答えない。
「何も言わないってことは、否定も肯定もしないと言うことね。貴方、その意味分かってる?」
僕は答えない。
答えず、ただ真っ直ぐ、彼女を見据えた。
「……呆れた。そう、それが貴方の答えなのね。」
彼女は溜め息をつきそう言うと、対峙していた僕との距離を詰めるために歩き出す。
そして。
「紫城 碧君、貴方を影に任命します。」