小説家になろうというエタりの墓場。
どうも安定しないけど、かくとしたらこんなかんじかなーという叩き台
多分私のエタった物語を淡々と書き綴る作品になるの、かなあ?
時間が狂いし空間に立ち並ぶ大小様々の建物。
ここは小説の舞台となる世界の建物が立ち並ぶ「小説家になろう」と呼ばれる場所であり、通称エタりの墓場といわれる。
年代、性別、時代を超えて日々書かれる小説。
しかしその中で完結する物語は極々一部であり、ほとんどの物語が未完のまま終わる。
簡単な設定もあれば、複雑怪奇な設定もある。
壮大なスケールの物語もあれば、小さなスケールの物語もある。
ファンタジーと魔法が飛び交う世界、男女の恋愛の世界、ゲームの中の世界、ゾンビまみれの世界。
日々色々な設定が生み出され、人は物語を書き綴る。
そして小説家になろうには日々小説の舞台の建物が建築され続ける。
中にいるキャラ達束縛したまま。
これはそんなエタった世界の建物の話。
最初に見せるのは
「この小説の作者はエタりました」と描かれた看板の建物である。
この世界は作者がエタり、先に進まなくなってしまった小説の世界の主役や脇役達の日常を書き綴った世界。
止まった世界に置いて、エタってしまっている間、何をするべきか。
何時まで待たなければならないのか、そもそも再開の宛はあるのか、しょうがないだろ書く気が起きないんだから。
という作者の悲鳴を書き綴ろうとした世界だ。
実際の所、作者がエタる理由は様々だ。
書く気が起きないというのが大前提であるが、人は皆評価を求める。
自分の中の自信作が誰にも評価されず消えていったら二度と書く気が起きなくなるものがいるだろう。
どれだけ書いてもお気に入りが0で絶望する物もいるだろう、評価が0のまま動かないものもいるだろう。
見に来る人間がまったくいない作品もあるだろう。
そういった負の感情で書けなくなることは多い。
だがしかし、人間という物は不思議で、正の感情でも書けなくなる事は多い。
たまたま書いた作品が自分の中では大ヒット、しかし書けば書くほどこれでいいのかと疑心暗鬼になりかけなくなる。
日々の感想とお気に入りがプレッシャーとなり、筆が止まる。
結局のところ、小説を書くのに一番必要なのは根性なのかも知れない。
誰の評価にも惑わされず、自分の書きたい物を書くという根性が。
それでは第一話「この小説の作者はエタりました」始まり始まり。
私が「この小説の作者はエタりました」の建物の中に入るとまず目に入るのは。
木の小屋で主人公とヒロインの二人の食事姿であった。
主人公である少年はこの世界においては最強の存在。
何しろ車に引かれそうな少女を助けて結果、君の死は間違いであり、その償いとしてどんな願いでも叶えてやろうといわれたのだ。
少年の能力はまず、ゲームの能力であり身体のステータスは全てカンストしている。
そしてこの大陸、この少年の中の感覚で最高にかっこよく、金持ちで女にモテ、不老不死。
どんな魔法も使いこなすことが出来、剣術も体術もこの世界で少年に敵うものはいない。
何が起きたとしても少年は負ける事無く、相手に勝つ。
この小説の世界のカルタカナタ大陸においては、少年は神に並ぶ存在だったのだ。
この物語がエタる世界でエタらなければ。
「どうもはじめまして、私作者と申します」
私が主人公の山田総一郎改めブラックナイトにそう名乗ると少年は目にも見えない動きで作者に近づき、抱きついてきた。
その横で主人公のヒロインであるリリアは鼻息を荒くし、こちらを見つめている。
どうやら男同士の恋愛が好きな腐ってる系の女性のようだ。
「本当か、本当に作者なのか、俺はついに旅に出られるのか!」
「お兄ちゃんやったね、これで私達救われるよ!」
喜ぶ二人であるが、私は作者といっても違う作者であり、この世界を進ませることは出来ない。
この世界の設定だとエタった世界のキャラはその場面から動けないのだ。
作者が来た所で二人はこの木の小屋のテーブルから抜け出すことは出来ない。
「残念ながら、私は違う作者です」
「違う作者…?そんな…じゃあ俺が聖女に女騎士に魔女に聖女にハンターに冒険者、モンスター娘から奴隷少女と出会うことは無いのか…?」
「ええ残念ながら」
エタった世界の登場人物達は、この建物の中でしか生きられない。
その世界を自由に歩ける作者だが、作者が違う場所に行こうとしたとしても設定が無く存在すらしていない場所にはいけない。
だからこの世界の建物は、この村しか存在して居らず小さい。
「この世界は狭いですねー…」
「ああ、しかもこの村聖女の設定の妹ぐらいしか若い女いねーから…」
「この前ヤッちゃった、てへ」
小説の舞台の建物の中から出れない彼らは、れっきとした人間だ。
性欲もあるし、睡眠欲もあるし、食欲もある。
続きが書かれなくて放置されれば、勝手に動く。
そしてその動いた世界は作者の頭に送られ、作者が続きを書こうしたら、この物語は主人公が妹を抱いてしまったシーンから始まるだろう。
皆も覚えがあるだろう。
間が開いた小説の展開が超展開だった記憶が。
あれは、キャラが勝手に動き、物語が勝手に進んでしまった世界の話なのだ。
この後私は延々と、夜の惚気話をされ、建物から出る事となる。
さて次はどの世界の建物に入るとするか。