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~家族~
「そうか、そんなことがね。」
渡辺さんは、微笑ましそうに私と赤城を見比べた。
「す、すごいんですねっ!仲いいんですねっ!!」
「いくないっ!!」 「いくねぇよ!!」
二人の声はほぼ同時だった。
私は赤城をにらみ、赤城はまた、私をにらんでいた。
この風景はまるで温かい家族の雰囲気のようだった。
あれから、私はあの犬猫探偵団の事務所で食事をご馳走になった後、
すぐさま家に帰った。
渡辺さんや藤堂さんはもう帰るのかって誘ってくれたけど、
とにかくできるだけあの赤城から離れたかったのだ。
「っていうか、結局神居君の顔見てないなぁ。」
最後まで姿を出さなかった神居洋のことが少し気になっていた。
もしかして引き込もりか?
それともオタクッ!?
変な考えばかりが頭を駆け巡る。
第一あの探偵団事態が問題だ……。
私はぶつぶつ言いながら自分のベッドに顔をうずめた。
時刻は10時。
外はもう闇に包まれている時間帯である。
「明日から普通の日常かぁ。」
今までのことも明日になれば夢と思えると自分に言い聞かせ、
私は深い眠りについた。