~初~
結局また犬猫探偵団の事務所にお邪魔している私。
あの後どうしても納得いかず、
赤城の後ろでがやがや話していたのだが、
気づけばアパートの前までついてきてしまっていたのだ。
帰ろうとしたのだが渡辺さんに気づかれてしまい、
またお邪魔しているということ……。
タイミング良いんだよね…渡辺さんって……。
紅茶の中の揺れる波をジッと私は見つめた。
自分の顔がゆらゆらと映る。
どうしてまたここにいるのだろう?
あの決意はどこへ行ったのだと私は思う。
「あ~そうだ、風月さん。もうすぐ依頼をしにお客様が来るんですよ。よければご覧になります?」
渡辺さんは思い出したかのようなことを言ってきた。
「お客…ですか?私がいていいんですか?」
「もちろんです。」
「ありがとうございます。」
少しでもここから出た方がいいのに、逆に長居をすることになってしまった。
だめだ、ここの人たちといると調子が狂うかも…。
今頃気づいたのである。
「邪魔だけはするなよ。」
いつの間にか向かいの席に座っている赤城を私はにらんだ。
余計なお世話だっつーのっ!!
そんなことをしているうちに、
初めての人物が扉から顔を出す。
「ふぁぁ~、あの、渡辺さん。書類まとめときましたよ。じゃぁもう一眠りしますんで。ふぁ~…。」
初めての顔、神居洋らしき人物だった。
まぁらしきというか本人なんだけど…。




