~事件~
カチャリという金属がこすりあう音が響く。
そして私の目の前にその音の正体は現れた。
きらびやかに光りごつごつしたその物体は、
まぎれもなく拳銃だ。
手足の自由を奪い口を布でふさがれているため、
抵抗できないのをいいことに、
拳銃は静かに銃弾をセットした。
「お~い嬢ちゃん。痛い目あいたくないんだったら、おとなしく金よこしな!!」
サングラスをかけた坊主頭のその男は、
にやりと不気味な笑いを浮かべる。
テレビドラマでよくあるようなシーンだが、
いざ目の前にすると恐怖で固まってしまうのだなと思う。
私は負けじと低くその男をにらみ、眉を寄せた。
「なんだその目は、からかってんのかっ!!!テメェぶっ殺すぞ!!!!」
男の眉間にしわが深く刻まれた時だった。
バゴーンッッッッ!!!
すさまじいがれきの破片と共に、鉄格子のはずだったドアは木端微塵にも砕ける。
何事だ!っと周りが躊躇している間にも地面を歩く音は近づく。
濁りと砂ぼこりの霧の中からは、黒い人影が写った。
「お取込み中悪ぃが、いい年した大人がカツアゲはよくねぇな。」
「誰だ貴様っ!!」
「俺?俺は赤城龍、ただの探偵事務所の人間だよ。」
赤城龍と名乗る少年は、
その言葉と同時に黒服の男たちへと飛び込んでいった。