その10
肉から突き出た骨を両手で掴み勢いよく齧り付く、美味いぞマンガ肉!!
腹ペコだったはずのケイン達が料理に手もかけず呆れて眺めていたが気にせずマンガ肉を堪能した、異世界最高!
呆気にとられたように見ていたケイン達もさすがに腹ペコだったという事で料理が全て運ばれてくると一斉に食べ始めた。しかしやっぱり飯は自分で口から食べるに限る、病院にいた時は腕につながれた点滴だけだったからな。健康第一だ。
皆が一通り満足いくまで料理を平らげた頃合いでケインが本題の依頼の話を始める。
「腹一杯だ、十兵衛さんも結構食べてましたね」
「念願のマンガ肉じゃからの、これなら毎日でもイケるわい」
やはりマンガ肉は通じないようで不思議そうな顔をされた。
「さて、じゃあ依頼の話なんですが詳細はこうです」
ケインが受けた依頼というのはゴブリンの巣の殲滅だった。
今日ギルドに報告に行った依頼というのがその前段階の偵察任務で、偵察が終わって気が抜けた状態で街に戻る途中でワイルドボアと遭遇してしまったらしい。
そして偵察で現状を報告し、脅威度的にはEランクの実績のあるパーティーでなら大丈夫だという事で偵察に出たケイン達に初めに声がかけられたという事だった。
「ゴブリンなら前に倒したことがあるぞ、その時は一匹だったがの。今回は巣か」
そう、あれは異世界転生を認定した記念すべき出会いだった。
「さすが十兵衛さん。ゴブリンとの戦闘経験があるんですね、心強い。今回は巣といっても十匹前後です、こちらもパーティーで行くんで大丈夫です」
ケインは目をキラキラとさせて語り掛けてくる。歳はおそらく十五、六といったところだがすでに異世界歴ではかなり先輩だ、何と羨ましい事だ。
その日はいくらかの打ち合わせをして明日の朝出発という事となった、異世界初パーティー楽しみすぎる。
「おはようございます、今日はよろしくお願いします」
街の入り口で待ち合わせていたケイン達と合流する。昨日はワクワクが溢れすぎてあまりよく寝られなかったが体調は万全だ、冒険者楽しすぎる。
「それでは出発しましょうか」
ケインのその言葉で初めてのパーティーでの冒険が始まった。
「昨日も言いましたが俺達のパーティーにはヒーラーが居ません、十兵衛さんポーションの用意は大丈夫ですか?」
「ばっちりじゃ、昨日ちゃんと用意しておいたぞ」
ケイン達パーティーは剣士で前衛のケイン、索敵を得意とするスカウトのフィル、攻撃魔法使いのダートだ。ワシはケインと共に前衛としてパーティーに加わることになった。
回復役が居ないので各自ポーションを持ちそれぞれを補うという事だった。
純粋に疑問に思ったので昨日回復役が居ないことを聞いたところ、回復魔法を使える神官は小さな街には少ないらしく確保が難しいらしいという事だった。
「ダートは魔法使いなんじゃな。ワシは魔法を見た事が無くてな、楽しみじゃ」
「そ、そんな。まだまだ駆け出しなんで大した魔法なんて使えませんよ」
目的地のゴブリンの巣に向かう道すがら遂に魔法が見られるかと思うとテンションが自然と上がってくる。
そうこうしているうちに昨日薬草を採取していた辺りに着き森へと入って行く。
「ここからは魔物が出ます、十兵衛さん気を付けてください」
「承知した」
ここからは戦闘モードに切り替えていこう、油断は禁物だ。
「ゴブリンの巣まではフィルが先導します、戦闘になったら俺が先に前に出ますんで十兵衛さんはサポートお願いします」
ついに本格的に異世界での冒険が始まる!




