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【2】
それから2人は毎日電話する仲となった。
「もしもし」
みなみが居るのは、同じ県人が集まった学生アパートだった。1人部屋なので、好きなように使ってよかった。
「もしもし」
国広の声に胸が押しつぶされそうになる。バイト先に毎日行くわけにはいかなかった。大学生の身では節約しないといけないので、みなみもスーパーでバイトしていた。主に野菜を袋につめたり、店頭に並べたりするのが仕事だった。
「あの…!!」
「何?」
「ー今度、海へ行こう」
耳触りの良い声で言われ、更に胸が苦しくなる。電話を切りたくなくなるのだった。
「OK…です」
恥ずかしそうに答える。今から水着はどうしようかとか想像が楽しくなる。
「楽しみにしている」
「うん、私も」
2人は息のあったようにフフと笑う。恋人同士だけが知る、心地よい一時だった。




