07
夕方、一次予選が終了。
この広い会場が混み混みの満員御礼でしたが、
係員の皆さんがスムーズに運営してくれたおかげで、
大きな混乱も無く無事に終われました。
えーと、一番の元凶だった困ったちゃん妖精は……
『カミスさん、大好き!』
どうやら、カミスさんに餌付けされたようです。
なんだか妖精さんの扱いに手慣れているご様子ですが、
これこそが婚約者6人を誇る、異世界最強ジゴロの実力なのでしょうか。
「違いますよぅ、知り合いの妖精さんと好みが一緒なんだなって……」
もしや、次なる婚約者候補はちっちゃな妖精さん……
「僕、そんなに食いしんぼじゃないよ」
おっと、新たなる妖精さん登場!
しかも明らかに、あそこの駄目っ娘妖精よりも妖精感溢れる素敵な佇まい。
これが妖精界における格差社会……
『ライバル登場にヒロインのピンチ!』
いや、ライバルにはなり得ないし、そもそもヒロインですらない。
ゆえに、ピンチなど一切カケラもねえ。
「仲良しさんなんだねえ」
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妖精さんのお名前は、フィナさんことフィナゲシュさん。
不思議なご縁でカミスさんの友人と巡り合い、
カミスさんお住まいのジオーネにも時々遊びに来ているそうです。
「よろしくね」
こちらこそ、よろしくです。
旅する冒険者一家の家長をしております、シジマです。
あちらの素敵なメイドさんは、妻のツェリアさん。
そしてアレが、居候でトラブルメイカー、残念妖精のチミコさんです。
トラブルに巻き込まれない程度に仲良くしてあげてくださいね。
「よろしくお願いします」
『良きにはからえ!』
「……チミコさんは、普通の妖精ではないようだね」
「もしかして、高位の精霊よりも更に上位の存在から産まれたのかな」
ギクリ、なんて鋭いご指摘。
出来れば、その辺の事情はノータッチで願います。
あと、本人はあのザマ、
じゃなくてあんな感じなので、特別扱いも気遣いも無用です。
「仲良くしてくれるとうれしいな」
『お近付きのシルシに、一緒に会場の美味いもの巡り!』
こらっ、イベント係員さんたちの晩ごはん、勝手に食べちゃ駄目でしょっ。
「よろしければ、シジマさんたちもご一緒にどうです?」
「係員さんたちの夕食として用意されたものですが、みんなでご相伴しませんか」
『突撃! お呼ばれ晩ごはん!』
あかん、ほっとくとまた食べ散らかして自滅するよ。
やっぱり、首輪とリード、作んなきゃ駄目かな。