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ツェリアさんの得意なお菓子。
甘さ控えめクッキー。
優しい甘さと、アクセントには真っ赤なジャム、
そしてちょっと硬めの焼き上がり、それがタリシュネイア風。
「優しいお味で、とても美味しいです」
はい、ツェリアさんの人柄そのものです。
あー、どうしよ、幸せ過ぎてマジ泣きそう。
「素敵なご夫婦ですね」
「僕もそうなれるよう、頑張らなきゃ」
カミスさんも、既婚者さん?
「……まだ婚約中なんです」
良いですね、嬉し恥ずかし婚約期間。
俺たちはプロポーズ 即 結婚だったので、婚約関係ってうらやましいです。
今日は婚約者さんはどちらに?
「えーと、エルミナとシスカはエルシニア城で政務」
「クリスはエルサニア城で戦乙女さんたちと鍛錬」
「ニケルちゃんはいつも通り"ヴェルクリの家"のお手伝い」
「モノカは……特使勇者としての旅の途中」
「シェルカは、この会場で警備責任者していますね」
……カミスさん。
「はい?」
思わずカウントしちゃったのですが、もしかして婚約者さんが6人……
「……そんな感じなんです」
もしかしてこの世界で一二を争うプレイボーイ界の神……
「違いますよぅ、えーと、自分なりに出来る限り誠実に頑張っていたら、いつに間にかこんな感じに……」
なるほど、必ずしも不誠実に粉をかけまくっていたわけではなく、
みんなに対して男として責任ある態度を取っていたら、
全員に責任取ることになりました、みたいな。
「……ですね」
それって凄いことじゃないですか。
「はい?」
双方合意の上での婚約ということは、まごうことなき"らぶらぶ"の証し。
それも6人、恥じることなく胸を張って誇るべきです。
例えて言うならカミスさんは、6人制バレーボールの監督ポジション。
これから家族みんなをまとめ上げ、
監督としてチームの舵取りを頑張るぞ、ですよね。
「……もしかして、シジマさんは召喚者さんですか?」
……おっと。