04
コンテスト当日、
朝イチで来た会場は、
街の中央広場にあるやたらとデカい建物。
その名も"平和の館"
なんか、平和の館っていうよりも無敵要塞みたいなんですけど……
「では、行って参ります」
ツェリアさんは、いつも通りにお料理すれば大丈夫ですよ。
一次予選、楽しんできてください。
「はいっ」
『一次予選の特別審査員枠に見事当選!』
おめでとさん。
チミコさんも、食べ過ぎない程度に頑張ってね。
あと、会場内は警備が行き届いてるそうだけど、
誘拐されないようくれぐれも気をつけて。
『ナンパもプロポーズもどんとこい!』
知らない妖精さんについて行っちゃダメだよ。
『体重は軽いけど軽い女じゃないよ』
いっぱい試食審査してきてね。
『吹き荒れる別腹の嵐!』
……さて、俺はどうしようかな。
一般審査員への会場オープンまで、まだ時間があるけど、
街で屋台巡りとかしちゃうと試食審査出来なくなりそうだし。
ふむ、こういう時は、その辺の公園でのんびりお昼寝でも。
まだ朝だけどさ。
---
お昼前、平和の館1階大広間のイベント会場がついに一般開放。
入場の際に受け取ったプレートの数字が、一般審査員としての番号ですね。
えーと、一般審査員の審査方法は、
予選参加者のお料理を試食してコースターをゲット。
一番美味しかったお料理のコースターを、
番号が見えるように審査員プレートの裏に貼り合わせて、
会場を出るときに係員に手渡します、ですか。
ふむ、なかなか良いやり方だとは思いますが、
この混み混みの会場で上手くいくのかな。
まあ、俺はツェリアさん一択なのですが、
もちろん食べずに投票するのはルール違反。
ちゃんと会場を回って、美味そうなものはどんどこ食べちゃいますよ。
もちろん、まず最初はツェリアさんから。
どれどれどこかな、俺の嫁……
いたいた、ひときわ目立つべっぴんメイドさん、
って、すでに大行列がっ。
こりゃあかん、出遅れた。
あー、あの列の長さだと待ち時間がエラいことに。
本当、どうしよ……
「ツェリアさんの旦那さまのシジマさん、ですよね」
はい、旦那なりたてほやほやのシジマです。
「初めまして、コンテスト運営委員のカミスです」
「こちらをツェリアさんからお預かりしていました」
えーと、これは……お菓子?
「一番最初に焼き上がったのをぜひ、だそうですよ」
……俺、嬉しくて泣きそう。
せっかくですから、カミスさんもご一緒にどうです?
「はい、喜んで」
「あそこの休憩ブース、今なら空いてますね」