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 こっそり会場に戻って、プチ潜入ミッション。


 メガネとマントの変装を解けば、


 いつもの俺の地味キャラ設定が仕事してくれるだろうなって。



 はい、おかげさまで誰にも気付かれずに、


 カミスさんの隣に戻ることが出来ましたよ。



 やるじゃん、地味な俺。



 まあ、会場の皆さんの視線は、


 調理完了したステージ上の3人に釘付けでしたけどね。


 何せ、三者三様で見目麗しい乙女たちの饗宴ですから。




「本当にお疲れさまでした」


 もう堪忍してください……


 本当に、後はカミスさんたちにお任せでよろしいのですよねっ。



「ここからは、ツェリアさんの応援、頑張ってください」

「もしよろしければ、シジマさんも飛び入り審査員します?」


 マジ勘弁してくださいよぅ……




 ---




 3台の大型ワゴンテーブルに乗せられた出来立てお料理は、


 それぞれが決勝出場者の自慢の逸品。


 でも、大きなフードが被せられていて、お披露目はまだなのです。



「あのワゴンテーブルには、出来立て状態を維持出来るよう状態保存の魔法が付与されています」

「フードにはキッチンブースのカーテンと同じく、香りを全く漏らさない隠蔽魔法が」


 流石は異世界お料理コンテスト、やりたい放題ですね。




 そして、いよいよ審査開始。


 最初に披露されたのは、ミナモさんの……肉じゃが!?



「古来より東方では、殿方の胃袋を掴むならこの料理、とのお墨付きが」

「是非、ご賞味あれ」


 ミナモさん、自信満々ですね。



 審査員一同、試食のペースじゃない勢いで食べてますよ。


 おや、妖精さんペアの側にある四角い箱は、電子レンジ?



「あれは、お料理のサイズを『縮小』出来る魔導具ですね」


 へえ、流石は異世界、あれならグルメな妖精さんも安心。


 うちにもひとつ欲しいかも。



「後で製作者さんに連絡してみますね」


 よろしくです。



 どうやら肉じゃが試食審査完了のようです。


 審査員の皆さん、実に満足げなご様子。


 これは、高得点な予感。




 ---




 そして次のお料理はルルリエさんの……クリームシチュー!



「ジオーネならではの採れたてお野菜でいっぱいなシチューです」

「ごゆっくり、お召し上がりください」



 審査員の皆さん、ふーふーするのももどかしげ。


 マジでスプーンが止まらない様子。


 うひゃぁ、めっちゃ美味そう。



「どうやら、お肉は控えめにして、お野菜の旨味で勝負のようです」

「流石はお野菜大好きなルルリエさん、"食材の魔術師"の二つ名は伊達じゃない、ですね」


 ミナモさんとルルリエさんという、タイプの全く異なるプロの料理人。


 カミスさんは、おふたりのお料理を味わった経験があるのですね。


 実にうらやましい限りです。



「いえいえ、あのツェリアさんの旦那さまが何をおっしゃいますやら」

「お料理上手な奥さまを射止めるのは、男子の本懐ですよね」


 御説、ごもっとも。




 ---




 そして、マイ本命。


 いよいよツェリアさん登場。


 ワゴンテーブルの上の大きなフードをカパリと開けると……



 !?



 会場を支配せんばかりの圧倒的なまでに暴力的な香り!


 あれぞまさしく、ツェリアさんの絶品カレー!!



 しかも、俺たちが最初に野営した時の夕食で出たスペシャルメニュー、


 チミコさんリクエストのカツカレー!!!



 あー、ヤバい。


 こんなの拷問ですわ。



 見てくださいよ、審査員一同の食べっぷり。


 アレこそまさに、一心不乱にして無我夢中。



 どうしよ、明日の夕食でおねだりしちゃおうかな。



 えーと、実はあれって、正確にはあの時のカツカレーでは無いのです。


 あの時の食材は全て、俺が『創造』で出したもの。


 今回の食材は、ジオーネ市場で厳選されたもの。



 ……やべぇ、めっちゃ食べ比べしたいっす!



 そんな感じで、カレー脳でうっとりしてる間に、


 決勝戦、審査終了。



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