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転生なんて望んでない  作者: ヒスイ
8/22

8話 出来過ぎてる

体育館に行くとまだガヤガヤとしていた。


「ギリギリだね」


まだ並び終わってないクラスもあり、始まってないことに安心しながら言う陽夏。


「早く並ぼう」


「うん!」


安心しているのか元気に返事をする陽夏。

急いで自分のクラスの列に行くと、うちらに気付いたクラスメイト達が自分達の場所を空けてくれる。


「おはよう!陽夏」


「陽夏遅刻してんじゃん」


「陽夏ギリギリだよ」


皆が陽夏話しかける。その横を通り自分の場所に座る。陽夏は1人1人相手しながら自分の場所に座った。


それから2、3分経ち金田が走って体育館にやってきた。


「はぁ…ギリギリ…か…?」


息を切らしながら時計を確認し言う金田。ギリギリと言っていたが本当にギリギリだ。ピッタリと言ってもいい。

だから、金田は


「おい、金田」


「あ、河瀬先生…」


担任の河瀬先生に詰め寄られていた。ギリギリセーフじゃなくてアウトみたいだ。


「先生今日もイケメンっすね」


少しでも機嫌を取ろうと満面の笑みで伝える金田。それを周りのクラスメイトが先生にバレないよう笑っている。


「遅れた理由は?」


けど、先生は無視し遅れたことについて聞いていた。


「相変わらず無視っすか」


「…」


「寝坊です!」


媚びを売ろうとしたが金田は何時も言っているためやっぱり効き目は無い。

何とか逃れようとするが、河瀬先生の無言の圧に負け正直に答える金田。

黒髪に切れ目にピシッとしたスーツに真面目そうなオーラがある河瀬先生の無言の圧は物凄く怖い。


「そうか。罰として雑用を頼むから昼休み職員室に来い」


けど、そんな見た目だが河瀬先生は優しい。ただ見た目が怖いってだけだ。


「はい…」


金田は肩を落としながら列に並んだ。


「裕人、遅れてやんの」


「うっせぇ」


「昼休みサッカーやるんだけどなぁ」


「うわ、めっちゃやりたかった…」


周りの男子は話していたが、金田が来ると話をやめ、金田をからかう。女子も混ざり金田の周りは皆金田を話題にしている。


金田は人気者だ。

そんな人と関わるなんて難しすぎるから余計関わりたくない。


キーンコーンカーンコーン


朝礼が始まる時間にチャイムが鳴り周りが静かになり朝礼が始まる。




校長の長い長い話が終わり教室に戻る途中陽夏に話しかけられた。


「ゆーか、一緒に戻ろ」


「うん」


体を伸ばしながら話しかけてくる陽夏。


「いやー、裕人遅れなくて良かったね」


「そうだね…?」


遅れた判定になっていたが陽夏にとっては遅れとはなってないのだろうか。


「よ!陽夏と雨野」


陽夏と話していると陽夏の隣に金田が来た。階段の内側から金田、陽夏、うちとなった。


「あ、雨野、場所変わろうぜ」


そう言ってうちの横に来てうちを内側に行くように促してきた。外側だと歩く距離が少し多くなる。だから、交換してきたんだろう。本当に恐ろしい。


「いやー、ギリギリだったわ」


「けど、怒られてたね」


「あ、それ陽夏も手伝えよ」


「えー!何で私だけ!」


2人は仲良さそうに話している。

うちの場違い感が2人が話すのにつれて大きくなる。早く教室に行きたい。


「由香は?」


「雨野は初めて助けたからノーカン」


本当に初めてだからノーカンなのか。本当は仲良くないから言えないだけじゃないのかと一瞬思ったが、金田の性格上差別のようなことはしないため初めてだからノーカンなのだろう。


「私だって!」


「課題を見せたし、忘れ物届けに行ったりしてるが?」


「う…」


何とか手伝うのを避けようとしているが、陽夏は金田に沢山の借りがあるみたいで手伝うしか無さそうだ。


「由香も一緒にぃ…」


今度はうちを巻き込もうとしてくる陽夏。昼休みまでこんな空気を味わないといけないなど耐えられない。それにうちは用事が有る。


「やだ」


「お願い!」


「雨野を巻き込むな」


「いたっ!叩くな!」


陽夏の頭を軽く叩く金田。

他の人から見るとどう見ても付き合っているように見える。もしそう見えてるのならばうちはどう見えてるのだろう。多分邪魔だと思われてる。


「私保健室行くから」


「具合悪いのか?」


保健室行くと言った瞬間心配したようにこちらを見る金田。


「違う」


「由香は昼休み必ず保健室行くんだよねぇ」


「そうなのか」


うちは中2の頃から昼休みは保健室に行くようになった。具合が悪いとか相談したいことがある訳では無い。

保健室の先生と話したいだけだった。ただずーっと世間話をするだけ。それが好きだ。


「まぁ、具合が悪い訳じゃなくて良かったわ」


金田は安心したように言う。

何故か仲良くしてくれそうにも無い人にも優しくする金田に、少しだけ羨ましいと感じた事があった。


「取り敢えずお前は付き合えよ」


「なら、今朝の借りをこれで返すからジュース奢るの無しで!」


「いいぜ」


2人ともそれで満足したのかこの話は終わり、丁度教室に着き席に座る。


うちの席は前から4個目で後ろから2個目で真ん中だ。

先生が見えずらいと言われる席だからたまに落書きなどしている。

陽夏はその列の1番前でその隣が金田。2人は楽しそうに話している。よく授業中に笑ったりして怒られている。その度周りから夫婦とからかわれている。


「…」


それをただ見つめる。何故陽夏はこんな無愛想なうちに話しかけてくるのかがよく分からない。金田もだ。陽夏がいるからだろうがそれにしても話しかけすぎだ。沢山友達もいるのにうちを選んでいる陽夏。

本当に不思議だ。


「よし、学活始めるぞー」


先生が入ってきて今日の授業が始まる。

授業を真面目に受けてるふりをしながら、考え事したり落書きしたりし、10分休みには伏せて寝る

そうすることで誰も話しかけてこない。


何も問題もなく4限目まで終わり。

給食の準備をする時間になり、うちは給食を持って保健室に行く。先生には教室だと落ち着いて全然食べれなく気分が悪くなると伝えているため、いつも保健室で食べることを許されている。


コンコンコン


「失礼します」


保健室の中に入ると中には先生しか居なかった。何時もは女の子が1人いるが今日は居なかった。


「こんにちは、雨野さん。今日は新井さんお休みよ」


「結美先生に会いにきたんです」


保健室の先生の中島 結美先生

茶髪でふんわりと巻かれた髪は低く結ばれ、毛先は胸元ら辺でくるんっとうねっている。優しく細められた茶色の目。全体的にふわふわしている人だ。

今は距離も近くなり2人の時は結美先生と呼んでいる。


そして、何故か毎回うちが新井さんという何時も保健室に居る女の子に会いに来ていると思われる。


「んふふ、それは嬉しいわ」


幼い子供を見守るような笑顔で笑われる。


「本当に思ってます?」


「えぇ、私は担任になれないからこんな風に生徒と仲良くなりづらいのよ」


「だから、嬉しい」


「毎日来てても?」


「勿論よ」


「そっか」


たまに具合が悪い訳でもないのに保健室に来ていることを迷惑だと思われてないかと、思うことがある

けど、結美先生の表情を見る限り迷惑だと思ってなさそうだ

それに少し嬉しくなり照れそうになるが給食を食べることで気を紛らした


「んふふ」


それに気付いたのか優しく笑う結美先生

男性が見たら即おちるだろう


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