5話 2人目の友達
何故兄さんが何時もスクートムに誘ってくるのか疑問になり聞く。
「兄さんならスクートムがどれほど危険で大変か分かってるはずなのに何で誘うの?」
兄さんはスクートムに入ってからもう2~3年は経ってるはずだ。それぐらいスクートムにいたら色々なことを見てきたはずだ。海沿いでディアボルスが来ないか見張る時の不安さと怖さや、仲良く話していた先輩がディア島から帰ってこなかったり、ディアボルスとの模擬戦ができる映像空間で思い知らされる力の圧倒的な差。とにかく、スクートムは危険な組織だ。
隣に座り朝ごはんを食べ始める兄さんは口の中が無くなってから答えた。
「そりゃあ大変だが」
何当たり前のこと聞いてるんだという顔を向けてくることに、なら何故誘ったとほんの少しイラつきながら思う。
「由香里を誘ったのは冗談であり本気じゃない。もしそれで入られたら俺が親に怒られる」
「だから何回も誘ってきたのか…」
「そうそう」
何時も冗談で誘ってくるだけで本気でスクートムに入れようとはしていなかったのか。
納得した。
「それより、由香って呼んでって何回言えば分かってくれるの?」
話しかけてもこっちを向かずテレビを見ながらご飯を食べる兄さん。
「別に名前ぐらい何でも良いだろ」
「何でも良くない」
「そうですか」
興味無さそうに答えられまた諦める。
ほんとにどうして由香と呼んでくれないのかと不思議に思う。何でも良いなら由香って呼んでも良いじゃないか。
「それより、由香里は時間大丈夫なのか?」
そう言われ時計を見るともう家を出ないといけない時間だった。ゆっくりご飯を食べ過ぎてしまっていた。行儀悪いが急いでご飯を口に入れ込み立ち上がる。
「母さんご馳走様!兄さん片付けよろしく!」
「へーい」
「急ぎすぎて怪我しないようにね」
兄さんは本当にお皿を片付けてくれるのか不安な返事をしたが、今はそんなのに構っている時間は無い。急いで部屋に行き服を床に放り投げて制服に着替える。
「遅刻しそうな朝ってほんと嫌い」
文句を言いながら学校の準備をし鞄を持って制服が乱れてないか全身鏡で確認をする。
前世とは違い156cmとゆう15cmほど差がある。サラサラとした白髪は腰までありひとつにまとめ高めに結ぶ。前世では短かったからできなかった憧れのポニーテールだ。
深海のようなとてもくらい青色の目。
この容姿を見たとき、改めて転生したのだと思い知らされた。
2年半も着ていたスカートは短くなっていて膝上までの長さ、セーラー服も少し丈が短く見える。鞄も柔らかくなっている。
「中3もあっという間何だよなぁ」
前世で過ごした中学校生活は意外とあっという間だった。特に中学3年生は1番早く感じた。少しづつは早く過ぎている学校生活をまた過ごすことになるとは嬉しいようで嫌だ。中学校の方が勉強しなくていいがまた高校受験をしないといけないということに嫌になる。
「よし、行くか」
忘れ物がないか再度確認し玄関まで早歩きで行く。
「あ、由香里ー、鍵持ったか?」
玄関で靴を履いていると兄さんがリビングから顔を出して聞いてきた。
「多分持った」
急いでいるというのに兄さんは何も気にしてないように話しかけてくる。急いでるのが見て分からないのかと思う。
「多分って」
「もう、平気だから。いってきまーす!」
兄さんの話を遮り母さんに聞こえるよう大きな声で言い、家から出る。たまに外に出たら前世に戻っていた、なんてならないかなぁと勝手に考えて勝手に悲しくなる。
「何時もより10分も遅い…陽夏待ってたりしちゃってるかなぁ…」
この世界で出来た中学で唯一の友達 佐々木 陽夏
名前から明るい印象があるがそうでも無い。表に立つことは無いが陰でひっそり過ごしているということも無い。陽キャとも陰キャととも仲良く出来る子だ。
赤茶色のボブでピンク色の目は何時も輝いているようにハイライトが多い。168cmと前世のうちと近い身長。
自分より身長が10cmも高い女の子は居なかったため初めてあった時はとても新鮮だった。
陽夏は明るすぎないがよく一緒にいる子は明るいためセットで目立つ。佳奈みたいに話を振ってくれるので話題も考えなくて済むからそこは良い。
佳奈と少し似てるが全然違う。
例えば話し方とか明るさは似てるが、陽夏は誰とでも仲が良い。何時も色んな人と遊びに行っている。その仲の良い人達の中で、うちが少し他の人と同じぐらい仲が良くて家が近いから一緒に行っている。親友とまではいかないだろう。
「あ…やっぱり居た」
心配だったのが陽夏は優しいためうちが遅れても待っている可能性があったということだ。
たから、走って待ち合わせ場所に行くと予想通り公園のベンチにのんびりと座っている陽夏が居た。