3話 新しい人生
これが5歳の頃に見た昔の夢。
何故かアニメのような展開みたいに転生し、5歳の頃前世を思い出したという。
もちろん、それを思い出した瞬間号泣した。親に佳奈に会えないのは寂しすぎたからだ。それに後悔も沢山。もっとお母さんと電話して声聞いとけば良かったとか、電話しながら歩いてたら轢かれてなかったとか化粧品なんか取りに行かなければよかったとか沢山の後悔がある。
で、今は信じ難いがうちが大好きなアニメに転生していた。ほんと、アニメみたいな展開だ。まぁ、アニメみたいな展開に行ってしまったヒロインなら喜んで頑張るぞーとか意気込むんだろうけど。
「うちはそんな軽くない」
「何か言った?」
「別に…」
「ふーん、良いからご飯食べて学校行きなさい」
「…」
今は朝でリビングで朝食を食べていた。キッチンにはこの世界での母さんがいる。この世界での父さんはもう仕事に行っている。
久しぶりに5歳の頃見た思い出をまた見てしまい、つい気が緩み独り言を言ってしまった。
それに気付いた母さんは自分に何か言われたのかと思い、聞き返してきたが何でもないと言うと気にすることも無くお弁当を作り始めた。
「…」
それを無言で見つめる。
「ふぁ〜…」
廊下からあくびが聞こえ視線を向ける。
「お、由香里がまだ居る」
「…由香」
うちは転生して名前は天野 由香から雨野 由香里へと微妙に名前が変わった。だから、前世と同じように由香と呼んでとお願いしても違和感は無い。けど、兄さんは何故かそう呼んでくれない。
というか、今でもたまに雨野を天野って書いちゃうんだよなぁ。この微妙な変化を嫌に思うことが多い。
「別に呼び方はどうでもいいだろ〜」
そう言いこの話を無理やり終わらせるように母さんの方へ向く。
「母ちゃんおはよ」
「おはよう、将人」
5個離れた兄
夏なのに長袖長ズボンの部屋着を着ている。寝癖もない母さんと同じ銀色のサラサラとした髪。細目な青色の目が眠そうにしている。180cmという高身長に圧を感じることもある。
「今日俺任務行くから夜いない」
「え!?なんでもっと早く言わないのよ」
母さんがこちらを向き横にいる兄さんをみる。兄さんと同じ青色の目。振り向いた時にサラサラと揺れた肩まである銀髪。157cmで兄さんとは20cmも差がある。
「いやー、忘れてたわ」
「はぁ…」
母さんは呆れているがいつもの事なので直ぐにお弁当の続きを作る。
「お前もスクートムに来ればいいのに」
そう兄さんは隣に座りながら言ってきた。それは何時ものことだった。
「ダメよ…由香は女の子だもの」
母さんは静かに反対した。これも何時ものことだ。
「私は才能無いし無理」
自分も反対する。
スクートムとは6年前日本を襲った未確認生物を倒すために作られた組織だ。その未確認生物をディアボルスと言う。ディアボルスは3mで、見た目はゴリラみたいな筋肉質な体にカマキリみたいな鋭い2本の手がある。それしかうちらに情報が伝わってない。細かい情報は隠している。
「確かに。お前6年前めっちゃ怖がってたもんな」
「うるさい」
6年前と言われその時のことを思い出しながらご飯の続きを食べた。