ネトウヨの正体 プロパガンダに警戒せよ
初出:令和5年3月11日
SNSやブログなど、私たちは日頃ネットで書き込みを目にしますが、誰が書き込みをしているのでしょうか。
私はネットで書き込みをする人は以下の三種類に大別できると考えています。
①一般人
②インフルエンサー
③プロパガンダ工作員
①の一般人は私たち普通の人です。これに対し、②のインフルエンサーは評論家、ジャーナリスト、専門家の類です。
彼らは仕事で言論活動をしており、ネットの書き込みも仕事の一環です。著作を出版したり、講演会を開催したり、テレビに出演したりして、自分の意見を発表して収益を得ます。
政治評論家には右翼的思想の人もいれば左翼的思想の人もいます。同様にコロナワクチンに関しても、ワクチン推進派もいればワクチン反対派もいます。
また直接、収益を得ていなくても、いわゆる社会活動家として書き込みをしているインフルエンサーも②に含まれます。
かつて安倍政権下で月5万回以上アクセスのあるネットの書き込みは一般国民が書いた者でも規制の対象にされました。また広告業界では月1万回以下の広告(ただしB to C?) は市場に影響力がないとの常識があるとのことです。
こうして考えるとたとえばあなたが月5~1万回以上アクセスがある書き込みをしていたら、それだけであなたは一般人でなくインフルエンサーということになります。逆にあなたの書き込みが月1万回以下であればあなたは一般人ということになります。
ところで①でも②でもない③の書き込みがネットには散見します。
③は何らかの組織に所属する人で、自分の意思ではなく組織の上長の命令で、上司に命令された通りの内容を一般人になりすました書き込んでいる連中です。これはプロパガンダを目的とした書き込みで、彼らはそうした書き込みで何らかの報酬を得ています。
あるいは特定の組織に所属してないフリーランスでも、プロパガンダの書き込みで報酬を得ている人も③と見なします。
いわゆるネトウヨと呼ばれる人の正体は、多くはこうしたプロパガンダ工作員ではないかと私は疑っています。
ツイッターのアカウント「Dappi」を覚えているでしょうか。
2021年秋ごろ、岸田政権誕生前後ぐらいから話題になりました。ツイッターで野党を攻撃する「Dappi」が実は一般人ではなく、自民党の指示でIT企業が書き込みをしていたとして、立憲民主党の小西議員が開示訴訟を起こしました。
これはおそらく氷山の一角で、政府を含む何らかの組織が、プロパガンダ目的で一般人になりすまして書き込んでいることはほぼ間違いないでしょう。
いわゆる企業のステマなども広義の③に相当します。
ネットではSNSやブログに書かれた誹謗中傷を法的規制すべきとの意見をしばしば目にします。
しかしながらこれは言論の自由を脅かす危険性があり、むしろ規制すべきは、一般人になりすましたプロパガンダ工作員の存在ではないでしょうか。
いかなる意見をネットに書き込んでも言論の自由です。しかし一般人でない人が一般人と偽るのはどうでしょう。
A社の製品Bはすばらしいと思うという書き込みがあったとします。この場合、自分はA社の広報だと正体を明かした上での書き込みならステマではありません。しかしながら一般人になりすましてA社製品をほめる同社広報部の社員がやっていることはステマ行為です。
同様に自分は自民党サポーターズクラブのメンバーだが、野党の政策に反対する、という書き込みも問題ではありませんが、自身を一般人と偽った書き込みの場合、問題があります。
ネットの書き込みに法的規制を設けるなら、個人の書き込みの内容でなく、むしろこうした組織による個人の成りすましに対してでしょう。
また私たちがSNSやブログを読むときも、この書き込みはプロパガンダ工作員によるものではないか、という疑いの視点を持つことも肝要だと思うのです。
(了)