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障子の向こう  作者: 水野うしお
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【十五話】ワケあり実家 追求


ある夏の日のことだ。中学生だった私は夏休みの最中で、少し夜更かしをしていた。私の母は育児教育に関しては放任主義だった事もあり、特にお咎めもなく、二人リビングでテレビを観ていた。

テレビの内容が夏ということもあり、やれ心霊特集だの、本当にあった怖い話だのばかりで、他に見るものもなかったのでそれらを観ていた時、番組の中でとある女性がこんなことを話した。


「実家で誰もいないのに足音が聞こえる」


それを聞いた瞬間、別に怖がらせてやろうとかそういう気持ちはなく、話の話題として私が幼い頃からこの家で体験した話を母に振ってみた。

玄関の水、階段の足音、通り抜ける人、家鳴り、人の気配エトセトラ。

すると母は、私を見てこう言った。


「あーよかった。アンタが知っとるなら私の気のせいやないな」


母曰く、通り抜ける人は分からないと言ったが、玄関の水を不思議に思い、階段の音は何度も聞いており、家が少しおかしいのではと感じていた。

実は少し前に市から水道管の点検をするので少し家にあがらせてくれと水道屋が来たと言うのだ。トイレや風呂場、洗面所等、特に問題がなかったそう。母はそうだ、と思い水道屋に玄関の水溜まりのことを話した。水道屋は案の定「水道屋が割れてる可能性がある」と告げて、もう少し詳しく調べてくれたそう。

しかし、水道管はどこも悪くなっていないと言う。


「何でここ、水出てるんです?」

「私に聞かれても……」


水道屋は不思議そうに帰っていった。



玄関前の階段の音も、母も何度も聴いていた。そして私と同じことを母は試していた。

階段は大人の足でも三歩では上がりきれなかったという。母の場合、六歩は必要だった。頑張っても五歩。

つまり階段をどんなに勢いよく駆け上がったとしても大人の足でも三歩なんて到底不可能と語った。


母は一度、お隣のお兄さんに聞いてみたという。お兄さんは、「僕もたまに聞こえてましたよ。うしおちゃんがすごい勢いで飛び駆けてるんだって思ってました」とからからと笑っていたそうだ。もちろん、このお兄さんは階段の足音とは無関係だ。


家鳴りに関しては、建ったばかりの頃から多いなぁと思っていたそうだが、きっと建ったばかりの家には住んだことがないがきっとこんなもんなんだろうと呑気に思っていたそうだ。

人の気配も、周りに人が住んでるからだと思っていたと。


これら全て、私以外も体験したのを聞いて少しただ事ではないと感じてきていた。

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