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障子の向こう  作者: 水野うしお
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【十三話】弟


私には三姉弟のいとこがいる。姉二人と弟一人。

まだ一番下が生まれていない夏休みでの話。


いとこ家族が夏休みや冬休みに実家に来るのは毎年恒例だった。離れていた間に何があったかを家族全員で食事を囲んで話をするのが私は好きだった。

すると、いとこの母親が「そういえば七夕にスミレ(いとこ次女)が新しい兄弟がほしいってお願いをしたのよ」と話を振った。

いとこ二人は歳が近いせいかよく喧嘩していたのを覚えてる。だが決して仲が悪いという訳ではなかった。


「同じ幼稚園の友だちが妹生まれたの」

「だから欲しいんねぇ」


家族全員でもし新しい兄弟出来たら男の子か女の子どちらだろうという話で盛り上がった。

私はいとこにどちらが欲しいのか聞いた。


「スミちゃんはどっち欲しい?」

「弟」

「弟やといいねぇ」


するといとこはキョトンとした顔で私を見た。


「弟よ」

「ん?何が?」

「次産まれてくる子。弟」


いとこがハッキリと断言するものだから、どうしてそう思うのかを尋ねた。


「まだわかんないけどね、でも生まれるなら弟。もう決まってるの」


どういう意味なのかその時は分からなかった。

しかし次の年、いとこには弟が生まれた。夏休み中だったので家族全員で病院に赴いた。

ベビーベッドには男の子の赤ちゃんが寝ていた。

その時、私は去年のいとこの発言を覚えていたのでどうやって男の子が生まれるのをわかったのか聞いた。


「……?知らない」

「いや、去年言ってたよ」

「覚えてない〜」


いとこはどうやら忘れてしまったようだった。それ以上聞いてもいとこは何も教えてくれなかった。

テレビではよく小さな子供がお腹の中に赤ちゃんがいると言い当てたり性別を当てたりするのをよく見るが、私が聞いたのもそれなのだろう。

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