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障子の向こう  作者: 水野うしお
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【一話】人影


変なものをよく見るし変な音もよく聞くし変な気配も感じ取る。それが普通と思っていた。

言わないだけでみんな体験しているのだと、当然のように思っていた。



それが違うのだと気づいたのは小学生時代のいつ頃だったでしょうか。



炎天下の中、黒い長袖長ズボン姿。帽子もかぶってない。校庭の真ん中に棒立ちする、男か女かもよく分からない人影。


授業中ずっと居たし、授業が終わっても立っていた。


当時そこそこ仲の良かった同級生に指をさしながらあの人なんだろうね?と聞いた。すると帰ってきた答えは、


「は?」


だった。少し怪訝そうな顔をしていたと思う。


「あそこ、校庭の真ん中に立ってるじゃん」

「おらんよ。変なこと言わないで」

「おるよ!見えんの!?」

「お、ら、ん!やめてそういうの!」


少しムキになってしまい、軽い口論になった。


授業が始まったので仕方なく席に戻る。外に目をやるとやはりそこにまだ居た。なんで……と思ったが、すぐにそれは私の間違いだったと確信した。


下級生が体育で校庭に集まりだした。まだそこに人影はいる。しかし先生や生徒は全く無反応。


下級生たちは準備体操をするため広がっていく。広がる先にはもちろん黒い人影。


しかし下級生たちはそのまま普通に何事もなく体操を始めた。それを見て「あ、違うのだな」と確信した。




さっき変なことを言ったのは私だと、世間で言う幽霊は本当はみんな見えないんだと、違うのは私の方なのだと。


その後、気づけば人影は消えていた。

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