表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

私と花

作者: マヨ

ある日通りがかりのお花屋さんでドライフラワーをみた。

何故だか一際目立って美しく見えた。

もしかすると最近のやるせ無い落ち込んだ気持ちが、枯れている花にそっくりだったのかもしれない。


私は「いつか絶対に使おう」と思っていた透明のワインのから瓶にドライフラワーを生けた。

やりたいとずっと心にしまっておいたことが、ようやく1つ達成した。

次に雑貨屋さんで買った金色のヒョウタン型の花瓶、300円の白い花瓶、プレゼントで貰った小さめの大理石のような柄の花瓶、とどんどん私好みの物が増えていった。


壁に飾ってあるピラミッドやスフィンクスが描かれたポストカード、

引き出しにしまってある150円で詰め放題をした約200枚のポストカード。

どこかの美術館のものや、油絵で描かれたお花や建造物、北海道のイルミネーション、

こんな素敵なものを1枚1枚好みの物を詰めていいだなんて。


私は、どんどん自分の趣味、好きなもの、好きなことが増えていった。


そうして、刺繍糸を買ってお花の刺繍をするようになった。

初めに出来た作品は、紅紫と薄ピンクのお花が目立つ。

これ一つあれば、部屋が締まるくらいに引き立っている。

完成するのに数時間はかかるが、その後何度か刺繍をしては額縁に入れたりした。


最近は見つけたヴィンテージショップであまりに美しすぎる食器を見つけてから、

私は食器を集めることにハマっていた。

淵にピンクのお花が描かれたパスタ用のお皿や、珍しいと思い買った全体が緑色のお花の柄、

オレンジ色でもの凄い光沢のあるお皿、オレンジのひまわりが描かれたコーヒーカップなど、

通って通って集めたたくさんの食器。


そして、昔使った絵具と買ったキャンパスに絵を描くようになった。

カラフルにピンクのコスモスやオレンジと黄色のひまわり、濃いオレンジやグレーで際立てたりもした。

小学生が描いたお花畑の絵にも見えるが、私は満足だった。

その他にも、「90年代のおばあちゃんのお家」を想像して黄色のクロステーブルに

リンゴやチューリップを生けた花瓶、コーヒーカップやケーキスタンドを描いて、

黄土色のカーテンに、空の景色も見えるように作品を作った。

いつか、夢であってもいいからそのくらい昔のお家に住んでみたい、

そんな思いがあって描いたのだろう。


最近おばあちゃんにもらった、白鳥の花瓶。

こんな素敵なものもらって良いのかと、私はどんどん高まった。

さっそく生けたのは「ケイトウ」というお花だった。

これは幾つかの花屋さんで見て、一目惚れしたもの。

見た目が、明らかにお花ではなく図工で使うモールのようだった。

どうやって枯れるのだろう、そんな疑問も浮かべこの美しい花を手にとった。


そうやって一つ、また一つと「自分」を増やしていく自分に、

気がつくと始まりのドライフラワーに加えお花も趣味も増えていった。


私が生きてて良かった、と思う瞬間。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 刺繡、きれいですよね。 私はそんなに器用じゃないので、細かい作業ができる方が羨ましいです。 作者さんも楽しそう! 私も何が初めて見ようかな? 素敵な作品、ありがとうございました!
2021/09/28 16:13 退会済み
管理
[良い点] 浮き浮き素敵な色彩と感情に癒やされました。 母が長く洋裁をつづけていますが、手芸は一度ハマるとやめられないそうですね。作者さまもとても楽しそうです。 心の内側よりも、外に感覚をひらいて、好…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ