4話 攻略!クリーム平原の神殿
クリーム平原の神殿の中は水浸しだった。
そりゃそうだ。さっきまで水底に沈んでいた場所なのだから。
「ここに戦士のかけらがあるのか?」
「ここが本当に目的の神殿ならね」
神殿内部は一本道で迷うことはなさそうだ。真っ直ぐ進んでは階段を降り、また進む。それをひたすら繰り返す。
「ふう……どこまで続くんだろうね」
「ホントにね。私、もうクタクタ」
「どうやら、目的地が見えてきたみたいだぜ」
目の前に現れたのは大きな扉。これが一本道の終着点のようだ。ブレイドはその扉を開いた。
扉の向こうは何もない広間。ただし、奥にさらにもう一つ扉がある。どうやら、あの奥に戦士のかけらがあるのだろうか。
「何だろうな、この広間は?」
広間の真ん中には、玉座のような椅子が一脚置かれていた。
「見て!扉の近くに椅子があるわ。きっと偉い人がここに居たんだわ」
王の間を思わせる佇まいだが、やけに無駄に広い。ふと、その椅子の後ろに人影が見えた。
「よく来たね」
低く静かな声が響く。
「誰だ!?」
現れたのは信じられない人物だった。
「スザク!?」
ルート村でブレイドを守り、倒れたはずの仲間、スザクがそこに立っている。
「ねえ、あれ、本当にスザク君なの?何か様子が変じゃない?」
「私は正真正銘、スザクだ。だが今は、君たちを倒すためにソードマン様から送られてきた」
「待て、どういうことだ!?」
スザクの瞳には闇の力が宿り、異様な光を放っている。
「今の私はソードマン様の部下だ。そして、ソードマン様は君たちが戦士のかけらを集めることを想定済みだよ」
「ブレイド、彼から闇の力を感じる……」
「スザク、目を覚ませ!」
「そうは行かない。君たちはここで終わりだ。出でよ、モンスター、ガジラ!」
突然、地響きが神殿全体を揺るがす。
「な、なんだ!?」
地面を割るようにして姿を現したのは巨大な亀のモンスターだった。
「う、嘘でしょ!?あれ、何よ!」
ルーノが急いで『モンスター図鑑』を開く。
「えーっと、あれは……ガジラ。水辺に生息していて、普段はおとなしいはずなんだけど」
「ちょっと待って、それ本当におとなしいの?完全に敵意むき出しよ!?」
「そうだね……このモンスターにはソードマン様の闇の力が注がれている。凶暴化しているんだよ」
「厄介だな。ルーノ、クレイン、戦うぞ!」
ブレイドたちは各々の武器で攻撃を仕掛けるが、その硬い甲羅は物理攻撃をほぼ無効化する。
「ちっ、ダメか……クレイン、魔法はどうだ!?」
「やってみる!」
クレインの放った魔法攻撃。しかし、ガジラは瞬時に甲羅に身を潜め、それすら防ぎきった。
「そ、そんなの反則じゃない!ルーノ、何か手はないの?」
「待って……えーっと……」
ルーノはモンスター図鑑を睨みつけた。
「そうか!弱点は尻尾かもしれない!」
「よし、分かった。奴の尻尾に集中攻撃だ!」
3人は連携し、ガジラの動きを引きつけつつ尻尾を狙う。ブレイドの剣が鋭く尻尾を切り裂き、ついにガジラは力尽きて倒れた。
その瞬間、スザクの姿もかき消えるように消失した。
「スザク……」
ブレイドは拳を握りしめ、苦々しい表情を浮かべる。
「大丈夫、きっと助ける方法はあるわ」
「そうだよ、ネガティブな思考じゃ何も解決しないよ。方法は絶対にあるさ」
「……ああ、ありがとう。絶対にスザクを助け出す」
3人は決意を新たに奥の扉を開く。そこには神秘的な祭壇があり、輝く扇型の石が鎮座していた。
「これが……戦士のかけらか?」
ブレイドが手を伸ばすと、石が輝きを増した。
「間違いない。これが戦士のかけらだな」
ついに一つ目の戦士のかけらを手に入れたブレイドたち。だが、試練はまだ始まったばかりだった。