2話 試練の始まり!戦士のかけらを集めろ
目の前の老人はゆっくりとフードを取った。
「あなたは……フーラン老師!」
フーラン・スターライト。
スターライト一族の長老であり、ブレイドの旧友ルーノを介して知り合った人物だ。
「久しぶりだな、ブレイドよ」
「老師! ですが、今はこんなところで再会を喜んでいる場合ではありません! ソードマンが現れたんです。倒さなくては!」
ブレイドの焦る声を聞き、フーランは眉をひそめた。
「馬鹿を言うな! お主、完全に負けていたではないか!」
「……っ!」
鋭い指摘に、ブレイドは思わず口をつぐむ。
「わしが助けなければ、今頃どうなっていたと思う?」
「すみません……」
ブレイドは、自分がソードマンにコテンパンにされた瞬間を思い出した。剣の腕に自信があった自分が、無力だったあの瞬間を――。
だが、それよりも今、気になるのは別のことだった。
「そうだ、ルーカス達は!? 彼らは無事なんですか?」
ソードマンの攻撃から自分を守るために立ちはだかったルーカスとスザク。
二人の安否を確かめたいという思いが胸を駆け巡る。
フーランの表情が曇る。
「……すまぬ。ソードマンの攻撃は激しく、わしにはお主を救うだけで精一杯だったのだ」
「そんな……!」
だが、フーランを責めることはできない。
結局、自分がソードマンに敗北したことが原因だ。今はただ、二人の無事を信じるしかない。
その頃、ルート村の片隅で、ソードマンは空を見上げていた。
フーランの光の球が消えた方向をじっと見つめるその目には、余裕の笑みが浮かんでいる。
「運のいいやつだ。あの光の球め、余計なことを……」
その傍らでは、傷ついたルーカスとスザクがかろうじて目を開け、ソードマンを睨みつけていた。
「兄さんは……必ずお前を倒しに来る……!」
「そうだ……ブレイドさんは絶対に負けません!」
二人の言葉に、ソードマンは鼻で笑った。
「ブレイドがか? あいつは逃げたんだ。ただの弱虫だ」
「兄さんは必ず来る! 強がるのは今のうちだぞ!」
ルーカスの言葉に、ソードマンは目を細める。
「ほう、ブレイドがまた来るか。それはそれで楽しみだな……そうだ、いい考えがあるぞ」
次の瞬間、二人の視界が真っ暗になった――。
「老師、星の国で何が起こったんですか?」
光の球に乗って移動する中、ブレイドはフーランに問いかける。
フーランは静かにため息をつき、重々しい声で語り始めた。
「スターストーンが盗まれたのだ。もし悪用されれば、世界は再び闇に覆われるだろう」
「なんですって!? 取り戻さなければ!」
ブレイドは拳を握りしめた。
スターストーン――星の国にとって最も重要な宝石であり、同時に恐るべき力を秘めた存在。その悪用が何をもたらすかは、ブレイドにも想像がついた。
「だが、今のお主では勝てぬ。まずは力をつけねばならん」
「……分かりました。何をすればいいんですか?」
フーランは頷き、具体的な指示を与えた。
「『戦士のかけら』を三つ集めるのだ。それらは、ある強力な武器を手にする資格を証明するものだ。その武器こそが、お主の鍵となる」
戦士のかけらは、近隣の三つの神殿――クリーム平原、タカイ山、キノ湖にあるという。
さらに、スターストーンを守る者の一人であり、旧友のルーノがブレイドと同行することになった。
「久しぶりだね、ブレイド。僕も一緒に行くよ」
「ルーノ! 君がいてくれるなら心強い!」
再会を喜び合いながら、ブレイドとルーノは新たな旅に出発する。
「必ず勝ってみせる。ルーカス、スザク、待っていろ――!」
こうして、星の国と仲間を救うための新たな冒険が幕を開けた。