9話 対決ガット!最後の試練
ガットが斧を構えた。
「まずは挨拶代わりの一撃だ」
ガットの斧から火の刃が飛んできた。ブレイドたちは何とかそれを回避する。壁にできたひび割れからも、その威力の凄まじさが伝わってくる。
「ルーノ、クレイン、こいつは少しの油断で勝敗が決まるぞ」
「どうやら、その通りみたいだね」
「あの一撃を見たら、油断なんてできないわ」
3人は慎重にガットの動きを観察し、チャンスをうかがうことにした。
「ほう、初見でこの攻撃を避けるとはな。外したつもりはないのだが。では、次の攻撃はどうするか?」
ガットは斧を地面に叩きつけ、そこから衝撃波がブレイドたちに向かって広がっていく。
「ちっ、無茶苦茶な攻撃だな。当たったらただじゃ済まないぞ」
「でも、2手目まで見て、何となく分かってきたかもしれないよ」
「ルーノ、本当か?」
「うん。ただ、問題は彼の攻撃をどう避けるか、もしくはガードして耐えるか、そこだね」
「なるほど。そういうことね」
「え?マジか。クレインも分かったってのか?」
「ブレイド、あなたまだ気づかないの?」
「そいつは悪かったな。けど、チャンスはあるってことだな?」
「そうね。とにかく作戦を説明するから、しっかり覚えて」
「とはいえ、作戦を説明する時間をあいつが与えてくれるかどうか・・・」
確かに、ルーノの言う通り、相手がそんな余裕をくれるとは思えない。
「分かった。次の攻撃の時に隙を作るから、その間に説明してくれ」
「了解!」
ガットが再び火の刃を飛ばしてきた。
「みんな、避けて!」
ブレイドたちは再び火の刃を回避する。
「ちっ、ちょこまかと避けやがって・・・」
だが、今回は違った。
「隙あり!」
ルーノが手持ちの魔法銃で反撃する。
「ぐっ・・・」
「なるほど、そういうことか」
「気づいた?」
「ああ、わずかだが攻撃のチャンスがあるな」
ガットの大きな斧は攻撃のたびにわずかな隙を生む。その隙に大きな一撃を叩き込むのが狙いだ。
「サポートは任せて。素早さと攻撃力を上げてあげるわ」
クレインはブレイドに素早さと攻撃力を上げる魔法をかけた。あとは、ガットがこちらの狙い通りに攻撃をしてくれればいいのだが・・・
狙い通り、ガットは再び衝撃波を繰り出そうとした。
「今だ!」
「甘い!」
ガットは衝撃波の攻撃を放った後、すぐに火の刃を追加で放つ。ブレイドは咄嗟に剣でそれを防いだ。
「ちっ・・・」
「俺の攻撃後の隙を見極めたのは褒めてやろう。だが、生憎、俺は連続攻撃もできるんでな。それくらいできなければ、ソードマンには勝てんぞ」
ガットはわざと隙を見せていたのだ。悔しいが、完敗だ。流石はソードマンと戦った英雄の1人。
「だが、まあ。ギリギリ合格というところか」
「え!?」
「お前たちは宣言通り、力を示した。そして、戦士のかけらを受け取るのに相応しいと俺は判断した。そういうことだ」
そう言うと、ガットは斧をしまった。ブレイドたちは彼に力を認められたのだ。
「だが、認めたとはいえ、奴はもっと強い。それだけは忘れるな」
「アンタの強さを見て、俺たちはもっと強くならなきゃいけないと感じた。決して油断はしない」
「がはは、そうか。健闘を祈るよ、ロックの子孫とその仲間たちよ」
そう言い残し、ガットは姿を消した。
「やったね!これで戦士のかけらは全部集まったんだよ!」
集めた戦士のかけらが輝き始め、1つのエンブレムとなった。
「これが戦士のかけらが1つになった姿か・・・」
「そう。これが戦士の紋章。これでソードマンに対抗する武器が手に入るよ」
「よし、そうとなれば、フーランのところに戻って報告だな」
戦士の紋章を手に入れたブレイドたちは、フーランに報告するためにキノ湖の神殿を後にした。