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この作品には 〔ボーイズラブ要素〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

メ*イキアイドル♡チョモラちゃん

作者: れるり

いつか、先輩、と笑いかけて来る誰かがいた。

暗い部屋。

ぼんやりと光るスマートフォンに、見知らぬ誰かからのメッセージが表示される。

ごく短い挨拶に、動画が載せられているだけのシンプルなメッセージだった。

たったそれだけの事で、顔は綻び、体温が上がっていくのを感じた。

僅かに熱を持ったズボンの膨らみを指先で摘まみ、痺れる様な快楽に身を委ねる。


――はじめまして。見てください。


その誰かの名前は『R8wQ9Ttn』と表示されていたが、よくある事だと思った。

重要なのは、そのような文字列ではない。こくりと唾液を飲み込んで、動画を再生する。


それは、陰茎だった。

血管を浮かび上がらせる程の雄の欲望が、正面から映し出されている。

息を荒げ、ごつごつとした男の指が、自らの陰茎を撫でまわし、扱き上げる。

ほんの数十秒程度の、乱暴なだけの動画。よくある事だと思った。

だけどそれが良い。()()()()()

求めていたのは、これに他ならなかった。

次に届いたのは写真だった。

動画の行為の後を思わせる、吐き出した後の様子だった。

どろりとした、僅かに黄みがかった粘液が別の画像をべっとりと汚している。

『Chomolunmang』という文字。そして、自分自身のもう一つの顔。

ネットアイドル――『チョモラ』としての自分に向けられた、

名も知らぬ男からの吐精。


そう、それで良い。それを、求めているのだから、そうでないといけない。


でも。


()()()()()()


「あはっ……」


自然と声が漏れた。

今日は、何をしようか?

夜風が火照った身体に心地良い。


始めは好奇心だった。男性である自分が、女性の姿で配信を行う。

やがて『女装子ネットアイドル』として持て囃され、常連となるファンも増えた。

次第に過激な要求も見られるようになった。それは、自然な事だった。

画面の向こうで、この姿を見て、この声を聞いて、何を思い、何を考えているのだろう。


一時の気の迷いか、ただの悪戯心だったのかもしれない。

それとも、自覚は無くともそういった性情があったのかもしれない。

『チョモラ』は、配信内で陰茎の写真を要求した。みんなの***がみたいな。

なんちゃって、と、付け加えた。どうせそんなもの、来るはずが無い。

無数のメッセージが、無数のそれが、向けられていた。

これまでにない程に、チョモラの身体に淫猥な熱が生まれていた。


そして、今日は。


普段は気にも留める事が無い小さな公園に、人が集まっていた。

だが、彼らは、ただその場にいるだけだった。

互いの顔も見ようともせず、ただ無言でスマートフォンに触れ、或いはイヤホンを付け、目を閉じていた。

見るからに居心地の悪い、妙な緊張感の漂うその集団の、誰かと目が合った。

チョモラはゆっくりと足を進める。次第に、チョモラに視線が集まってくる。


あぁ。これを、味わいたかったんだ。


「みなさん、はやいですね」


その場にいる、顔も名前も知らぬ――けれど、よく知った男達に向かってチョモラは声を掛ける。

いつも、彼がそうしている様に。


かつての後輩からの着信は、もう聞こえない。

チョモラの耳には、発情した雄の吐息と、快楽と粘液が触れ合い、混ざり合う音だけが響いていた。

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― 新着の感想 ―
[良い点] やらしー文体してるじゃん。アクメ川賞狙っちゃいなよ。 [気になる点] チョモラちゃんはネットアイドルの枠を越えて今やみんなの便所アイドルです。 [一言] チョモラちゃん夢小説の隆盛はここか…
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