今度こそ!夏だ!水着だ!おいかけっこだ! 5
3メートルの宇宙人… もとい3メートルの真由美は腕を伸ばして俺をハグしようとした。手元から更に長い触手がニュルニュルと伸びて… 肩から触手の先まで6メートルにはなるか? 流石にコレには反応した物理打撃無効の球形防御壁を包みこもうとする。
「食らえ! シャイニングクロー!」
双頭犬相手に反射的に出した技。こんな時のために意識的に出せるように練習しといて良かった。名前も決めといて良かったよ!
まだ右手しか出せないけど五爪から迸る紫光の刃が真由美の触手を寸断した。見下ろす3メートルの真由美と目が合う。と、その真由美の上半身に横向きに5本のスジが入り、海面にバラバラと崩れ落ちた。断面にはリング状の肉と、中に詰まったワタ。赤い血は流れていない。外見は真由美だけど、断面を見るとイカリングだ。
これで死んだかな、と安心した俺だが、ふっと真由美の腰の黒い玉… つぶらな瞳と目が合った。その瞬間、真由美のワンピースがグバアっと上に開いて中からたくさんの触手が! そしてその真ん中には黒くてデカい嘴が!
腰から下の目玉と触手と嘴だけになった真由美は、黒光りする20センチはある嘴をガバッと開けて俺に噛み付こうとしている。
「うわあぁぁーーー!」
俺は絶叫した。だって予想してないトコにコレはホラーだろ。
「ケンちゃん、どいて!」
本物の真由美が叫ぶのと、水の柱が横薙ぎに飛んで来たのが同時だった。しかしヨロけた下半身真由美に傷は付いてない。メゲずにまた俺をハグしようとする!
「うわあぁぁーーー! うわっ、うわっ、うわあーー!」
気が付いたら下半身真由美は光の爪でズタズタになっていた。
「殺っちまった… 真由美を…」
「だからニセモノよ!」
と、その時、ズタズタになった真由美から青や水色や白の光の玉が飛び散った。玉は見る間に人形のような… 3頭身の真由美に変わって行く。俺の顔を見ると目がハート型になってくっついて来る。コレもしかして…
「お前ら、あの時海に流れた水の精霊か?」
俺が聞いたら頭をコクコク縦に振る精霊達。やっぱりか!
「え? この子達がどうして?」
駆け寄ってきた真由美が尋ねるが、誰かが答える暇もなく次の異変が起きた。溢れ続ける光の玉や精霊達が真由美を中心に渦を巻いて回り始める。そしてどんどん真由美に引き寄せられ、吸い込まれて行く。
皆が光の宴に言葉もなく見惚れているうちに、全ての光は真由美に吸い込まれて行った。しかし俺達にはそんな光景に見惚れている余裕など与えられてはいなかった。
「ケン坊! 沖!」
ローザの叫びに沖を見ると、そこには様々な大きさの… と言っても全てさっきのヤツより遥かにデカいのだが、真由美に擬態したクラーケンが何十体も水面から出現していた!




