今度こそ!夏だ!水着だ!おいかけっこだ! 3
「あれ? 3人共どこ行ったのかな。ローザ! リラ! カティー!」
3人は先に来た筈なのに、服とサンダルを脱ぎ捨ててどっかに行っちゃったみたい。あ、浜辺に女の子がいる。あの子に聞いてみよう。
服とサンダルを脱いで水に入ると、澄んだ水が気持ちいい。女の子の横に行って…
「こんにちは。ここに女の子の3人組が来なかった?」
聞いてみたけど女の子は何も答えず海を見ている。
中学生くらいかな。七色の水玉模様のワンピースに、つば広の帽子。黒髪がサラサラで綺麗ね。耳たぶに着けてるのは赤と青のガラス玉? 腰に黒いボールを左右2個さげてるのは変わってるね。
「何を見ているの?」
一緒に並んで海の向こうを見ると、真っ青な海と空の間、遥か遠くに霞んで陸が見えた。
「大きな島があるのね」
そう言ってもう一度女の子を見た時、女の子のボールにうっかり手が触れた。ヌメリというか、ヌルリというか、何だかヌメヌメした気持ち悪い感触。弾力はあるけど、これはボールのソレじゃない。タピオカというか小さい頃触ったオタマジャクシが一番近い、生物の感触…
「これって…」
ここまで言って気が付いた。女の子の目に怒り。開いた口にぞろりと並ぶ三角の歯。ワンピースの水玉の色が目まぐるしく入れ替わる。腕の陰から何か白っぽい物がシュルシュル伸びて私に絡み付こうとしている! これは触手! よく見たらワンピも帽子も布じゃない。帽子のつばだと思ったのはツルツルヌメヌメした肉のヒレ! この子、人間じゃない!
飛びのいて触手をかわす。でもギリギリで右手を何かに引っかかれて激しい痛み。血が流れて… 触手に吸盤? 円周に三角の牙がたくさん。これは先生の言っていたクラーケンの触手!
「このっ!」
怒りに任せて炎を呼び出す。海辺に炎の精霊はいない。ほとんど力はないけど、それでも呼び出した炎は私のイメージに従い女の子に化けたイカを包み込んだ。
「キュー キュ キュ キュー キュー」
炎に包まれて奇妙な鳴き声を挙げながらタコ踊り… いやイカ踊りをする化け物。
バシャーン!
炎に耐えかねたのか、水しぶきを上げ海に倒れ込んだイカは、もの凄いスピードで沖に泳ぎ去って行った。赤と青のガラス玉を残して。
「治癒Lv3! こんな化け物がいるなんて… 大変! 3人が危ない!」
早く捜さなきゃ! あの岩の向こうにいるかも!
【大賢者エリクトニウスのギリシャまめ知識】
エリクト「サンダルの起源は古代ギリシャ。サンダルの語源はギリシャ語で板を表す『sandalion』なのです!」
ゆきひろ「zzzzz…」
エリクト「寝るとは何事ですか!」
ゆきひろ「むにゃむにゃ、異世界でコレがアニメ化決定した夢を見てた…」
エリクト「授業中ですよ!」
ゆきひろ「続き見なきゃ。寝直そ」




