今度こそ!夏だ!水着だ!おいかけっこだ! 2
「ねーねー、キミここらへんの子? その服すっごく可愛いね。ほらリラとカティーも」
「私達、山から遊びに来たんだよ〜」
「あ… あなたは… どこから来たの?」
女の子はそれには答えないで、海を見たまま腕をスッと上げて沖を指差した。
「海の向こうから? じゃあカティーとおんなじだねー」
「ね、ね、私達と遊ばない?」
「み… みんなで… 遊んだ方が… 楽しいよ?」
これにも黙って首を振る女の子。知らない人と口をきいちゃ駄目って言われてるのかな?
「そうだ、4人になったからビーチバレーしようぜ! ちょうどボールあるし」
「ケ… ケントにいちゃんが教えてくれたの」
「決まりー! 教えたげるね! さあ、やろう?」
そう言ってリラが女の子のボールに手をかけると、女の子は急にリラの手に噛み付いた! すっごく怒ってる!
「痛い痛い痛い! 離して! はーなーしーてー!」
大変! リラすっごく痛がってる! 引き離さなきゃ! そう思って女の子の肩を引っ張ったけど、全然離れない。
「カティーはリラを引っ張って!」
「わ… わかった…」
カティーが抱き付いて引っ張ってもだめ! 吸い付いたみたいに離れない!
「こーのー!」
「あっ、リラ、小さい子叩いちゃ駄目!」
「だって痛いんだもーん!」
リラが泣きながらポカポカ叩くと、女の子は涙目になってやっと離れた。噛まれた方の腕には丸い歯型がいくつも付いている。
「リラ、大丈夫? 治癒Lv1」
「あ… あの子… あっちに…」
カティーに言われて見ると、女の子は浜に突き出した大きな石灰岩の塊の向こうに駆け込む所だった。
「大切なボールだったのかな。リラ、ごめんな。私のせいで」
「何とか治ったよ」
言いながらもリラは腕をフーフーしている。
「あの子… これ落として行った…」
カティーが拾ってきたのは… 小さいけど赤と青のトパーズの欠片。
3人で奴隷商人の所にいた時、都市のお偉い狒々爺に呼び出されてアタイだけで勘弁して貰った、あの時に… 裸になって付けろと言われた首輪にあしらわれていた… チッ、嫌な事思い出しちまったぜ。随分自慢してたなあのジジイ。ありふれた黄色もココいらじゃあ滅多に採れないけど、赤と青は本当に珍しくって、東方から隊商が運んで来る他には巨大モンスターがドロップする分しかないって。
「これは値が張るよ、返したげなきゃ。カティー、リラ診てて」
アタイは急いで岩の向こうに走って行った。あの子が岩陰からコッチを見てるかも。これを返してあげたら仲良くなれるかな?
でも、岩の向こうに女の子はいなかった。岩には所々に小さな窪みがある。そのどこかに隠れたかも。
「あの子いたー?」
後ろからリラとカティーが追い付いて来た。
「リラ、大丈夫?」
「うん、それよりソレ返さないとね。いっぱい叩いたから謝りたいし」
先に噛んだのはあの子なのに、リラはいい子ね。
「じゃあ今度はかくれんぼだ! 見つけたら声をあげて。あと穴には入らない事! 危ないからね!」
「ぉ… ぉー!」
「リラ得意だよ〜 最初に見つけちゃうんだから」
あの子が見た目通りヨソの子なら、地元の子が近寄らない危ない穴に入って落ちゃったかも。アタイ達で見付けてあげないと!
【大賢者エリクトニウスのギリシャまめ知識】
エリクト「トパーズの語源はギリシャ語の『トハゾス(探し求める)』なのです!」
ゆきひろ「ボツ」
エリクト「なんですと!」




