12時だよ! 漫画研究会 全員集合! 3
「部長は重度のSFヲタだから…」
「そりゃアンタでしょ優介! 清水さんも生徒会役員やってたんならわかるでしょ? 部活には活動成果の報告がいるのよ。漫研なら自費出版の漫画が成果として提出できるでしょ?」
「SF研でもSF小説を提出すれば…」
「その過程が問題なのよ。漫画家はペン入れベタ塗りトーン貼りと分業化が進んでいるから部活というサークル活動こそ相応しい。でも小説家はどう? 最初から最後まで1人で書き続ける… それは血を吐きながら続ける悲しいマラソンですよ? 漫画家が打ち上げパーティーでアシスタントに囲まれ祝福されている時、小説家はド田舎のホテルに1人でカンヅメにされ脱走しないか編集さんに監視されているのよ! そんな引き篭もり生活24時、まっぴらゴメンだわ!」
それは偏見だと思うけど。全方向にケンカ売るスタイルは改めた方がいいよ、さくら。
「でも確かにスポーツ部だと大会で優勝って明確な目標と成果があるけど、SFの大会なんてないもんね」
「何言ってるの、あるわよ」
「え? あるの?」
「清水さん、オカダさんやアンノ監督は大阪SF大会で…」
「黙れ優介誰もそんな事聞いてない。とにかくSF談義は趣味。この部活は趣味なんかじゃない、自己実現の場なのよ。親の会社を継ぐ、結婚して家庭に収まる、それも個人の選択。でも私はそんなんじゃ絶対に満足できない! 自己実現してこその人生! 自分の未来は自分で決める! 会社のトップになりたければ自分で起業する! それがこの私の自己実現! これはそのためのテストケースなのよ!」
いつも通りのさくらのヒートアップ。そこに賢人がいつも通りのローテンションで突っ込む。
「はぁぁぁぁ〜っ。部長はやっぱり特別だよな〜。出鱈目言っといて、何があっても涼しい顔してブッ飛ばして何でもかんでも実現しちゃうんだから。俺なんか全っっっ然普通だからさ〜。親や先生の言う通りに勉強するだけで未来なんか何にも見えてないわ〜」
「ハァ⤴ ハア⤴⤴ ハアアァ〜〜〜〜〜⤴⤴⤴」
「何だよ部長?」
さくらは椅子を跳ね飛ばして立ち上がり、顔を伏せて両腕を下げ、握り締めた両の拳を上に反らしてワナワナと震え出した。
「山田… アンタが… アンタが… アンタがそれを言うかぁぁぁぁーーーっ!」
「うわっ、痛っ、なんだよ部長、叩くなよ」
さくら… 怒ったフリしてるけど君はそうしてる時が1番幸せそうに見えるよ。少し妬けちゃうな。
「ねぇ? あんまり参加してない私が言うのもなんだけど、新入部員さんに今後の活動方針とか説明したらどうかな?」
飯田さんナイスパス! さくらは賢人の口に突っ込んでギリギリと横に引っ張っていた親指を引き抜き、スカートの横でゴシゴシ拭いて両手を腰に当て胸を反らした。
「それでは毎年恒例! 漫画研究会夏季特別強化合宿について説明します!」




