缶詰INリゾートホテル 5
「あ〜っ!俺の分を!」
美奈のヤツ、普通はお兄ちゃんと半分コだろうが!
「ごっめーん、でも美味しー」
「美味しいではどんな味かわからんわ!」
「し、しょうがないわね、私のを半分あげるから、委員長として!」
「ありがと〜」
「じゃあ僕のも…」
「お前いーヤツだな優介〜」
「谷くんは男子だからしっかり食べなきゃ。私、ダイエットしてるから私も半分あげるよ」
へ?
いや、なぜ飯田さんが……
「はい、あーん」
「私も〜、はいあーん」
「むぐむぐ」
すっ、すまん優介。
「ん?この歯応え、この味は……何だ?」
ちょっと海の香りがして、なんかいい感じのプリッと感としっとり感と歯応え。小さい頃食べたサザエほど固くなく歯切れがいいけど帆立貝ほど柔らかくない。
何だ、ワカラン。美味しいのに何を食べてるかわからないからモヤッとしてスッキリしない!
「鮑だよ賢人」
「蒸し鮑ね」
目を白黒させてる俺に、どうと言う事もないって顔でソレを咀嚼した出とさくらはアッサリ正解を口にした。
「いやっ、サラダ盛り前菜に普通に鮑とか乗っけるとか思わないし!先に言ってくれよ先に!」
何を食ってるのかわからないウチに飲み込んでしまったじゃないか!大体そんな詰まらなそうな顔で食うな!これだから金持ちは!