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幼馴染のツンツンな委員長が、異世界では俺にデレデレなんです  作者: 松林ゆきひろ
俺と真由美の俺的に残念ではない学園生活
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嬉し恥ずかし学園生活

「でありまして本校は校歌の歌詞にあります通り文武両道たゆまぬ努力はてなき向上心を校風とし…」

 眠い…


「保護者の皆様と先生方におかれましては誠意に溢れた指導にご尽力いただき諸先輩方が守り抜いた本校の名誉と伝統に泥を塗るような今回の件は誠に…」

 い… 意識が… 落ちる…


 教壇の横の大型モニターに映った校長は、抑揚のないどこまでも平板な声でどうでも良い話を訥々(とつとつ)と続ける。


 真由美は… 背筋ピンと伸ばして聞いてる。さすが委員長… 俺もう無理… あっ、こっち見た。え? 何? 口の形が…

『お』『き』『て』

 無理です… え? ノート切って何か書いてる。小さく折り畳んでまた何か書いて。隣に渡して、手渡しでコッチに。


 オレに? ああ『山田くんへ』って?

 ラブレターかな? 開いてみよう。どれどれ?

『ねるな』

 そんだけかい。


 ノート切って『むり』って書いて、4つに畳んで『しーさんへ』って書いて、隣に渡して… ぐう。



「賢人」

 ぐう

「おい賢人」

「んぁ?」


「キャーッ!」

「ギャー!」

「イヤー!」

「おっしゃー」

 突然みんなの声が爆発して目が覚めた。クラスのほぼ全員が… いや、隣のクラスの連中まで全員大声をあげてる。みんな何騒いでんの?


「ハイハイ騒がない。夏休みまでの話だ。その先はスクールネットと学校のHPで随時連絡する」

 はい? 先生、何言ってるんですか? ってうわ。机に5センチくらいの水たまりが。ヨダレか… 完全に寝てたわ。


「ほらプリント」

 あわてて拭いてる所に声を掛けられて顔を上げると、前の席の優介が薄灰色の用紙の束をこっちに差し出していた。

「3枚取って」


 言われるままに取って残りを後ろに回す。なになに?

『集団登下校のお知らせ』

 先生が説明を繰り返す。

「校長先生がさっき説明した通りだ。組み合わせ、時間、ルートは学校側で決めてある。良く目を通して、勝手な判断で変更しないように」

「学校まで近所の女の子をボディーガードして来いって。組み合わせは2枚目。3枚目が地図」

「スマン優介」


 回らない頭でプリントをめくる。2枚目のリストによると、俺と真由美は一緒に登下校する、という話になっていた。

「僕は、いーさんとだって。来生は部長(さくら)とだね」

 ああ、それで悲喜こもごもの悲鳴があがってるんだ。


 このクラスの女子ほぼ全員が(イズル)のファンだってのは周知の事実。その(イズル)が幼馴染で社長令嬢()かつ押し掛け彼女でもある合田さくらのボディーガードとして2人で登校するという方針に納得する女子はほぼいないだろう。出来る事なら()わりたいってのが本心か。


 なお男子のほぼ全員が憧れる美少女飯田(いー)さんはグリグリメガネでSFオタクの優介とペアで登校だってんだから男子も似たようなもんだ。


 その時、教室のそこかしこでメールやラインの着信音が鳴った。

「こら。スマホはマナーにしておけと…」

 言い終わる間もなく、さっきとは比べ物にならない黄色い悲鳴が先生の声をかき消した。何人かの女子がスマホを周りに見せ、そこに凄い勢いで女子が群がる。


 なぜか悲鳴には「しーさん」がどうの「山田くん」がこうのという声が混じっている。口元を両手で押さえてコッチを見たり、ニヤニヤしたり… 一体、何だってんだ?

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