上層レストラン階から屋上展望台へ 1
「お兄ちゃんってさ」
エレベーターで2人っきりになった美奈は彼女みたいに俺の腕にかき付いた。
「意外とカッコいいんね」
「意外とは余計だ」
「うん…カッコいい…」
「何か変なモン食ったのか?」
「あーっ、褒めてあげたのに酷いひどーい」
「お…おう、美奈も珍しく可愛いぞ」
「珍しいは余計よけいー!美奈はいつも可愛いんだから!」
普段は俺の食べる物を取り上げる事しか考えてない美奈が珍しい事もあるモンだ。今日は朝からアチコチで食ってばかりで流石に満腹になったのだろうか。
「お、着いたぞ。レストラン階だ」
エレベーターで上がれるのはココまで。エレベーターホールにあるマップによると、左のレストランを抜けた奥にあるエスカレーターを上がるとお酒の出るバーラウンジ階、右に行って別のエスカレーターを上がると屋上展望台だ。
「和洋中華いろいろあるねー♡ぜんぶ食べたーい!」
前言撤回、まだ食う気だ。
「こういうトコ絶対高けーだろ…」
中華の店の前にあるメニュー表を開いて…そっ閉じ。コース料金が最低で1人1万円から。あと3万円とか5万円とか。
「あっ、お寿司屋さんだー♡」
「一応御品書を見よう」
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本鮪大トロ:時価
鮃:時価
雲丹:時価
鮑:時価
車海老:時価
カリフォルニアロール:時価
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「ちょっと待て。全部時価とか恐ろしくて入れんわ」
ってゆーかカリフォルニアロールまで時価?!
「エビ食べたーい」
「これ中層階に入ってる企業が接待に使うヤツ!」
「接待?」
「会社の接待費で偉いさんを招待するの!」
「お兄ちゃんが美奈を接待して♡」
「ウルウルしても駄目!俺らじゃ無理!行くぞ!」
「あ〜ん回らない寿司〜」
イカン美奈とココにいるとお年玉貯金1年分食われるぐらいじゃ済まない。サッサと展望台に上がろう。




